佐野元春は最新のDVDの中のインタビュー(disc5のボーナストラック“アンジェーリナの日”)にて、
《ロックンロール音楽をやるためには、音楽を始めた時の初期衝動が大事だ。けど、キャリアや経験を積めばどうしても初期衝動は薄れてしまう。》
このような意の内容を喋っています。
上手くやれ、でもやりすぎるな
洗練されても、手慣れてはいけない
これはとても難しいことです。逆の意を同居させるみたいなものです。
でも、キャリアを積んだ佐野元春がコヨーテ・バンドを率いる意味は、まさにこれに尽きるんじゃないかって思うのです。
ホーボーキング・バンドがいるのにね
HHKBなら、荒々しくも繊細にも演れる、やろうと思えばやんちゃに少年のようにはっちゃけた演奏だって出来るでしょう。日本屈指の演奏集団ですものね。
でも、そんな無敵のHHKBの演奏ですら、本当に無垢な《初々しさ》だけは持てない
昨夜のライヴを観ていたら、HHKBのホントに最初のツアー(まだ『フルーツ』を出す前の)を観た時の感覚がふと蘇りました。
僕はまた、元春の《初期衝動》が立ち上がる瞬間を目撃してるんじゃないか、って、そんな気がちょっとしたのです。
定刻19時より5分ほど遅れてメンバー登場
01 星の下 路の上
02 荒れ地の何処かで
03 夜空の果てまで
04 US
冒頭の4曲、この辺りは先日発売されたDVDの内容に添うものです。よほど前回のツアーで手応えを感じていたのでしょうね。《選曲に新鮮味がない》と思われようが、掴みでシッカリとした《現在の佐野元春》を聴かせる。
声の調子も良さそう。「荒れ地~」のこなれ方なんて聴いていて本当に気持ち良かった。「US」がちょっと音がクリアじゃない気がしましたが、ああいうアレンジのエンディングな曲ですから、これもOK。
新しく加わったギタリスト、藤田顕くんは左利き。レフティなギターはジミヘンかポール・マッカートニーかって恰好良さ☆テレキャスとストラトを使い分けてたかな。深沼元昭はレスポールのゴールドを多用していて、ステージの左右に対に立つとこれがまた絵になるんだ。
そして、掴みが済んだところで知らないイントロが響く
コードだけ聞いたら、あれ?「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」のスローヴァージョンか?と思ったところに、元春のシャウト
《そこにあるのはシステム!》
思わず客席から嬌声が上がります☆
05 愛のシステム
久しぶりに聴けました。ギターの音もリズムも重たく、『ナポレオンフィッシュ~』のアレンジのうねりに近い印象です。
元春、渾身の歌い上げでしたね。途中声がかすれたのもかえって迫力につながってたし、エンディングなんて音がグシャグシャになってました。綺麗な演奏を聴かせようって気がない、まるでガレージバンドみたいな荒くれっぷり。怖いもの知らずのアマチュアみたいな眩しい演奏でした。
あんな音、めちゃくちゃやってるか、さもなければ狂喜の混沌ですよ。圧倒されたなぁ
そして続くは、ギターのあのイントロ。びっくり(!)
06 欲望
最初は正直一瞬、《この歌はやめようよ元春、【ALL FLOWER IN TIME】のHHKBの演奏が良すぎたじゃん》って、選曲の無謀?が頭をよぎりましたが、
歌い出しに、あのシャウトが来る!、と気構えたところに、呟くようにオクターブ下で歌い、またも聴き手の予想をサラリと交わす。
そして最後のバースいきなりオリジナルキーで、《物憂げな顔をしたこの街の夜!》と叫ぶ。これは卑怯でしょう(笑)。ラストの《君が欲しい》の叫びに鳥肌を立てなかった人は皆無だったのでは?
07 驚くに値しない
これもイントロのしずしずとしたギターから全くのサプライズ。そして僕はきっとあの夜のあの会場で一番狂喜していました。僕はこの歌をどれほど偏愛してきたことか☆
声の出ていなかったあの時期に、《元春は健在だ!》って問答無用の説得力を僕にくれた歌。この歌こそ今の元春の声で聴きたかったのです。
アレンジは荒削りで、もっともっと良くなるだろうと思われる仕上がりでしたが、この歌をよくぞ取り上げてくれた!という、僕宛てのプレゼントを貰った気分なのです。
《30周年の時に皆に言い忘れたことがある。それを歌に託して、》
との元春の語りから
08 イノセント
《ありがとう》はさんざん言ってたじゃん♪と思いつつも☆、オリジナルキーの高音部を地声で伸びやかに、また見事に歌い切ってくれちゃって。20周年の歌より10年後の今の方が声が出ていることは、もはや誰にも異論のないことでしょう。CDより良い歌でしたよ☆
20分のインターバルに入る前の、締めの曲は
09 僕は大人になった
大冒険曲が続いた後には、DVDでも最高にご機嫌だったこの歌で客席を大いに沸かせて、休憩に突入
後半は次回
☆
mathis