同作品では初め「のんべえ小路」スナックで流しのアルバイトとして働いているらしいアリスというハーフの少女を登場させ、彼女を「太賀誠の女」であるかのように読者に想像させます。


しかしまもなく、本当の「太賀誠の女」とはスナック向いの赤ちょうちん女将で、太賀誠の実の母親である太賀トヨだということが判明しました。


「太賀誠の女」の地位から転落した端役の少女、影もうすくなります。

しかし、原作者梶原一騎はこの少女を再び「太賀誠の女」に返り咲かせるべく、大胆な展開を用意します。それが砂土谷峻と緋桜団による少女人質作戦です。




砂土谷は電話ごしに少女の悲鳴を誠に聞かせ、ついに誠に「彼女はおれの女」と自白させます。





かなりムチャぶりですが、こうして少女は「太賀誠の女」の復位に成功し、ヒロイン早乙女愛を再び圧倒します。




「あんた〜! うれしいよ!」自身が望んでいた「太賀誠の女」になれたことに、全身でよろこびを表す少女。つかのま幸福の絶頂です。
しかし誠と砂土谷の決闘が始まり、少女もよろこんでばかりいられぬと誠を応援しますが、その胸中には「太賀誠の女」としての揺るぎない自信が…




「あたいの大事なその人を‼︎」このセリフにその自信がアリアリ。幸せなコですね。






決闘のすえ砂土谷を倒した誠。しかし緋桜団の団員たちが残っているし、まだ気を許すことはできません。そして、なぜかそこに、少女の恋路をおびやかすヒロイン早乙女愛の姿もあって…⁉︎








「なります!」団員たちに全ストを迫られた早乙女愛は決然と受け入れます。それを聞いた少女の赤面は、いったい何を物語るのでしょうか?
少女が再び「太賀誠の女」の座から転落する時が、少しずつ迫っています。









こうして、あわれ少女は再び「太賀誠の女」座からすべり落ちますが、去りぎわに作中10本の指に入る名言を残します。
「あたいのためには死のうとしたけど、彼女(早乙女愛)のためには生きようとした」
これは、少女が早乙女愛に敗北した原因は誠自身の心にある、という主旨ですが、実際には早乙女愛が全スト「なります」宣言を聞いて少女が赤面した時に、早乙女愛ほどの覚悟が自分にないことを知った少女が恥じらいの赤面を見せたところで、少女の敗北は決していたのです。
場末でツッパッて生きて来たチンピラ少女の、悲しき負けおしみ、ですね。