「マノン」が好き。
最初に観たのはDVDのアンソニー・ダウエルだったかな?
それともオーレリー・デュポンのアデュー公演(テレビで放映された)だっただろうか?
どこが好きとかはうまく説明できないんだけど
あの、「堕ちていくのも幸せ」って感じの退廃的な感じがゾクゾクして好き。
デ・グリューが親にお金を送ってくれなんていう情けない手紙を書いてる時に
無邪気に絡んでくるマノン、っていう
冷静に見てるこっちからは不幸の匂いしかしない場面なのに
その場の愛にひたって踊るパドドゥが素晴らしいとか、
(あの手紙を書いてるところ、私は“お金のない現実”を感じさせるものだと思ってたけど、先日、手紙を書くデ・グリューは幸せそうで、っていう作品解説を見て、そうだったの??!!
ってびっくりしてる。笑。長いこと解釈間違ってたのか、わたし。。。)
マノンの美しさに、高飛車なお貴族様のムッシューGMがたまらなくなってむしゃぶりつく(言い方下品ですみません)瞬間
マノンが自分の美を自覚するとことか
それでデ・グリューが頭から消え去って
(ついさっきまで愛に溺れてたのに)
去ってしまうとか
人間の(マノンだけではない)弱さと愚かさと、それを踏み台にする強さが
微にわたり細にわたり
絶妙に表現されていてたまらないです。
それが、台詞のない「バレエ」ってもので表現されているのが
またいいんですよね!!!!
マノンっていう人間に対して、好きになれないとか
あのラストも自業自得とか、
そういう捉え方になるのもとてもよくわかる。
そういう感想をよく見かけますので
わかるけど、私は違うと思うんだなぁ。。。
(私は、という意見で、それ以外を全否定してるわけじゃないです。)
マノンだけでなく、人間はみな愚かな生きものなんです。
愚かであっても生き切ったその先に何があるか、ってことなんじゃないかと。
数年前に映画館で観たサラ・ラムとムンタギロフの「マノン」も素晴らしくて大感動でしたね。
あの時、台詞がないバレエで、台詞が聞こえたんですよ。
あの、手紙書いてるデ・グリューがマノンにペンを取られて投げられ、
デ・グリューがマノンを見た時に
『マノン、僕の、宝物』
って。
ムンタギロフのデ・グリューの言葉が聞こえた気がしたの。
あと、流刑地に送られるマノンがアップになった時に
『わたしは、ただ、幸せになりたかっただけなのに』
って。
何故、こうなってしまったんだろう?ってね。
サラ・ラムのマノンの声が聞こえた気がした。
それはもう、大感動で家に帰って
うるうるしながらDVDでアンソニー・ダウエルのを観たら
こちらも素晴らしくて
うわーーーー!!いいーーーー!!
って心が叫んだ。笑
その後に、ムンタギロフが新国立の「マノン」にゲストで来て。
マノンは米沢唯さんでした。
これは観に行きましたよ、張り切って!!笑
で、当時
Twitterとかでは唯さんのマノンは評判よくなかった思い出があります。
なんかねぇ。。。無垢、だったんですよ。私の印象だけど。
今まで観てきたマノンとは違った。
それがかえってね、マノンに執着するデ・グリューの罪、みたいなのが感じられて
私にとってはまた新しい『マノン』でした。
デ・グリューが現実から目を背けようとし続けたせいで
(その現実とはマノンの本質)
自分の求めるマノンを信じようとしたせいで
あのようなラストになった。。。って感じました。
そんな中でも最後までデ・グリューに身を預けようとするマノンの無垢さが
哀れ(時に美しい)で胸を揺さぶりました。
あの『マノン』は唯さんとムンタギロフならではだったと思うなーー。どうでしょ。
今回の新国の『マノン』は観に行けないんだけどね。
素晴らしいだろうなぁ、行きたかったなぁ。
新国のインスタにあげられていた
小野絢子さんのリハーサル、素晴らしかったですよね!!!
もう、リハーサル映像だけで
「これはマノンだ」って思って胸がいっぱいになりましたよ。
絢子さん、素晴らしすぎる。
私は前から
バレエのネタで
『バレエ作品に出てくる王子がダメ男すぎる』
っていうのが苦手でして😅
舞台作品の、もう、かなり昔に作られた作品の登場人物に
現代人の感覚を当てはめるのは何か違うんじゃないかなって思うのです。
本当にたまらなく嫌悪したくなるくらいのキャラクターだったら
作品自体、好きになれないんじゃないかしら。
「白鳥の湖」でも「バヤデール」でも、その他もろもろ。
特にジークフリードに関して思うのは
あの人は人生の中で、普通の人間なら味わえないような両極端な経験を
たった2日間の中でしてしまったので
壊れちゃったんですね。
美の最高峰を、しかも、
陽と陰、白と黒、天使と悪魔、幸福と不幸、っていうような
最極端の美に、たった2日間の中で出会って
壊れちゃったんですよ。
と、私は思っている。笑
そうなると
いやーーーやり甲斐のある役だし、
解釈の深みがどこまでも広がる役だ!
なんて思ってます。
オディールもね、むちゃくちゃ難しくて当然なんですよ。
だれもが納得する美の極地を見せてくれないと
王子の品格が落ちちゃいますからね。
『こんな女にだまされちゃったの?』
なんて観客に微塵も思わせちゃダメだから。
そうなるとオデットも当然、美の極地なんですよ。
長々と書いてますが
あともうひとつ『マノン』のことを。
動画でギエムの沼地を観たことあるんだけど
あれもすごかった。
どんなにボロボロなろうと、みじめだろうと
これが私の選んだ人生!!!
という叫びが聞こえてくるようでした。
マノンという人が好きかと聞かれたら
いや別に…
なんだけど
あのラストは自業自得というより
私はとしては
あっぱれ。
って感じです。