ファンタジーからアートへ、セカオワ『Eye』と『Lip』のアルバムレビュー | 数学を通して優しさや愛を伝える松岡学のブログ

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「もうそんなに出してなかったんだ ・ ・ ・ 」

 

そう、セカオワのニューアルバム 『Eye』『Lip』

発売されたときの、私の心のつぶやき。

 

なんと、4年ぶりのリリース、

しかも、2枚同時。

 

 

ライブやシングルのリリース、メディア出演など、

セカオワには精力的に活動しているイメージがあったけれど、

 

アルバムのリリースは、そんなに久しぶりなのですね。

 

 

 

それにしても、

 

『Eye』 と 『Lip』 というタイトル、

 

どんな意味があるのだろう?

 

 

そんな私の疑問は、タワレコで無料配布していた

インタビュー記事で見事に晴れた。

 

 

 

Fukaseさんの言葉を引用します。

 

『目は口ほどに物を言う』と言いますけど、

目が語るものと口が語るものは違うと思っていて。

 

『Eye』 と 『Lip』 というコンセプトからスタートしようと。

 

    出典:TOWER PLUS+ 2019.FEB.27

 

 

Fukaseさん、なかなか深いことを言いますね。

 

口を表すアルバム 『Lip』 は、

歌うことを重視したポップな内容。

 

目を表すアルバム 『Eye』 は、

サウンド重視の感覚的な内容。

 

 

Fukaseさんの言葉から、

アルバムのテーマがひも解かれ、

 

ちょとすっきりしました。

 

 

それにしても、、、

 

 

この4年の間にリリースしたシングルに、

あと何曲か追加すれば、

 

それだけで1枚のアルバムが出来たはずなのに、

 

あえて、それをよしとせず、

 

 

今の自分たちを、ちゃんと表現している作品にしよう

 

ということで、

 

2枚組のアルバムとして、

リリースすることを決めたそうです。

 

 

自分たちの作品をそこまで大切に考えている

セカオワのそんな姿勢が素敵だと思う。

 

 

 

 

では、それぞれのアルバムを見ていきます。

 

『Lip』 はポップなシングル曲を軸に仕上げた作品。

 

私の感想ですが、

最初にこのアルバムを聴いたとき、

 

「なんて優しい気持ちになれるアルバムなんだろう」

 

と思いました。

 

 

優しい

きれい

心に染みる

 

 

というキーワードが、

私の心に浮かびました。

 

確かに、ポップなアルバムなのですが、

単なるポップなだけのアルバムじゃないんです!

 

 

『歌』 を大事にしている楽曲がそろっているだけあって、

Fukaseさんの言葉が、スッと胸に入ってきて、

心に染みるのです。

 

 

このアルバムの雰囲気を、

楽曲 「サザンカ」 がよく表していると思う。

 

 

きれいなメロディーにのせて、

心に染みるメッセージが

 

つむぎだされていきます。

 

 

いつだって物語の主人公は

笑われる方だ

 

人を笑う方じゃないと

僕は思うんだよ

 

・ ・ ・ ・

 

いつだって物語の主人公が

立ち上がる限り

 

物語は続くんだ

 

 

この曲を聴くと、、、

 

頑張ってもうまくいかず、

どん底のようなつらい時、

 

よし、頑張ろうと思えます。

 

だって、転んだままで立ち上がらなければ、

そこで物語は終わってしまうのです。

 

 

その他にも、優しくポップな曲が

アルバム 『Lip』 には、散りばめられています。

 

静かな気持ちで聴いてほしいと思います。

 

 

 

 

続いて、アルバム 『Eye』 ですが、

 

ポップでファンタジックなセカオワの

イメージがある人には、

 

かなり驚きのアルバムかもしれない。

 

アンダーグラウンドなサウンドが

縦横無尽に鳴り響きます。

 

 

ただ、そんな縦横無尽のサウンドから、

私は、セカオワの創造力を感じました。

 

鋭いサウンドをまとっていますが、

 

その裏側には、Fukaseさんの内面

表れているように感じました。

 

ポップなシングル向けの曲はあまりないけれど、

 

これはFukaseさんのプライベートな作品なのではないか。

 

このアルバムを聴いて、

私の心に浮かんだキーワードは、

 

 

創造力の解放

内面的

美しい

 

 

です。

 

このアルバムの雰囲気は、

13曲目の 「スターゲイザー」 がよく表していると思う。

 

 

花は摘めば枯れていくように

叩けば物は壊れるように

 

・ ・ ・ ・

 

多数派がいつも勝っていくように

怒鳴れば君が泣くように

 

時々頭がおかしくなる

普通の日常

 

 

ハッとさせられる歌詞です。

 

繊細でデリケートな性格のFukaseさん、、、

 

この矛盾に満ちた世界で、

つらい思いをしているのだろうか?

 

 

そんなことを感じさせる歌詞、

 

 

この曲はミュージックビデオが配信されているので、

ぜひ見てほしい。

 

スターゲイザーのサウンドにのせて、

満月をバックに、平手友梨奈さんが踊っている。

 

その映像は、

 

はかなく、悲しく、美しい

 

 

 

アルバム 『Eye』 は、全体を通して、

 

想像力をかきたてられ、

空想にひたれるアルバムだと思う。

 

 

 

 

 

『Eye』 と 『Lip』

 

テーマの違う2枚のアルバムは、

どちらも聴きごたえがたっぷり、

 

セカオワの2つの側面を味わうことができる

表裏一体のアルバム。

 

 

お正月とお盆が同時にきたような、

そんな気持ちになります。

 

 

楽曲 「天使と悪魔」 が象徴するように、

Fukaseさんにはいつも 「2つの対」 がある。

 

 

正義と悪

始まりと終わり

朝と夜

・ ・ ・

 

 

今回のアルバム、私は同時に買うともったいない、

1枚ずつじっくり聴きこみたいと思い、

 

京都のタワレコで 『Eye』 を買い、

高知のHMVで 『Lip』 を買った。

 

京都と高知、タワレコとHMV ・ ・ ・

 

 

 

 

 

実は、

 

アルバムが4年ぶりになった理由の1つに、

 

海外向けのアルバム 『Chameleon』

作っていたこともあります。

 

すでに、たくさんのヒット曲を持っているセカオワ、

 

こちらもシングル曲を中心に構成すれば、

あっという間にできたはず。

 

 

しかし、

 

誠実な Fukaseさんは、それをよしとはせず、

 

海外用のアルバムに収録する曲を、

こつこつと作っていたみたい。

 

音楽に対して、

なんて真摯に向き合っているのだろう!

 

 

この何年間かは、

 

海外用の楽曲を、

作っては捨て、作っては捨て、、、

 

延々と作っていたみたい。

 

もはや、音楽職人です!

 

 

 

次の、Fukaseさんの言葉をみてほしい。

 

 

「この5年くらいはずっと

 

『今が歯の食いしばりどきだな』

 

って思ってきました

 

出典 : 宇野維正 「もう一度、ゼロから始める」——次のステージへ、セカオワが目指す高み

          Yahoo!ニュース

 

 

 

私はこのインタビュー記事を読んで感動した。

 

 

 

派手な格好やパフォーマンスから、

世間ではセカオワのことを、

 

ちゃらちゃらしていると、

思っている人もいるかもしれない。

 

 

だけど実は、

 

こんなにも誠実に音楽と向き合っていて、

こつこつ歯を食いしばりながら努力をしている。

 

 

 

国民的人気バンドになってからも、

 

おごり高ぶることもなく、

こつこつ努力をして、

 

心を込めた作品を作り続けてきた。

 

 

真摯に音楽と向き合い、

本当に作品を大切にしている

 

 

そのことを知った時、

 

先ほど引用したサザンカの歌詞の主人公が、

私の頭の中で、Fukaseさん自身とシンクロした。

 

 

Fukaseさんは、サザンカの歌詞と、

自分の姿を重ねていたのではないか、

 

そんな風にさえ、私は感じました。

 

 

心を込める

 

 

言葉で言うのは簡単だけど、

なかなかできることではない。

 

 

私はセカオワの作品への姿勢から、

大切なことを学んだように思う。

 

 

そんなセカオワの思いの詰まった

アルバム 『Eye』 と 『Lip』

 

 

ファンタジーからアートへと成長した

セカオワの作品を、

 

ぜひ、あなたにも聴いてほしい。

 

 

 

 

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