説明会の時に、いつもPISA(OECDの生徒学習到達度調査)の話をしています。教科書改訂に至ったのも、この結果で、日本の順位が2000年、2003年、2006年と年を追うごとに下がっていき、2006年に5本の指に入らなくなってしまったため、全員調査を復活した経緯があります。
で、2009年の結果を見たとき驚いたのが、初参加の上海が、読解力、数学的応用力、科学的応用力いずれも2位と比べて大差をつけて断トツの首位。
気になっていたところで、たまたま尾木ママの本が届き、そこに上海の教育現場を尋ねたレポートが載っていたので興味深く読ませてもらいました。日本のメディアがまともに報道しない事実も書かれていました。
上海は1989年から教育改革をはじめて、その結果が出てきたようです。一部で、PISAで1位をとるためのトレーニングをしたというものがあったようですが、実際にはそんなことはやっておらず、「活用力」つまり「生きる力」に繋がっていくような学力形成に成功し、そこが学力の向上にも繋がっているとのことです。
興味深かったポイントをあげると、
・一人っ子政策を長所で捉える「みんな一人っ子だから、学校では兄弟になろう」
・「基礎力」7割、「探究と開発」3割
・研究テーマを設定したら、それを継続してずっと探求していく
・教師と生徒の信頼関係→先生が決して怒鳴りつけたり、怒ったりせず、常に褒めるから。
・リラックスして笑顔で勉強しよう
・分からなくてつかえていると、友達が教えてくれ、できたらみんなから拍手を浴びるから、勉強が楽しくなる。
・先生の持ちコマ数を少なくして、授業に打ち込めるような方針
・教育委員会と現場の学校の関係が平等。教材をどう教えるか、学校で起こっている問題への立ち向かい方は現場優先
・優秀な教師を派遣して、学校のレベルを上げていく
・最も子どもに好かれる柔和な優しい表情をした人がトップの教員
・「日本は教育本心をころころ変えすぎ」と言う上海の教育委員会。
尾木ママの締めの言葉も響きました。
「大人の生き方の理念の問題」
それぞれの人がビジョン、ミッションを持つことの大切さを感じた言葉でした。