昨日のCES(ラスベガスで行われる家電見本市)でソニーのEV(電気自動車)が結構話題になりました。なるほど、EVはもはや家電なのですね。ソニーの作った車に乗りたいか、乗りたくないか?と言う議論はともかく、とうとう自動車産業が戦国時代に突入したと言えそうです。さてトヨタ様は室町幕府になるのか、あるいは衣替えして家康になれるのか。

 

EVが世に出始めた10年くらい前から「EVって規格化されたモーターと部品さえ買ってくれば誰でも作れるし、あとは電気周りだけだから、どちらかと言うと家電メーカーの仕事になるよね」と言われていました。自動車メーカーの最大の武器は内燃機関(エンジン)技術。燃費からトルク、馬力まで自動車のほぼ全ての性能、あるいは価値が内燃機関に集約されているわけですが、これがいらないとなると特色がなくなってしまいます。ロータリーや水平対向エンジン、あるいはコモンレールディーゼル(これはインチキしていましたけどね)など、膨大な開発費用をかけて色々差別化してきたのに、、、。内燃機関からEVへ転換しても、ほとんど特色が出せなくなるわけです。おまけに、内燃機関を中心としたサプライヤー達(部品メーカーなど)が負の遺産として重くのしかかります。安易に切り捨てると、自動車の街が大失業状態になってしまいますしね。

 

自動車メーカーにとって内燃機関からEVへの転換は社内でのカニバリゼーション(共食い)になるからつらたんです。かつて、富士フィルムがフィルムからデジカメへ転換した時くらいの根性が必要になります。これ、既存の技術や事業で食べてきた人達をある意味ぶった斬ることになるので、社内で権力闘争や軋轢が起きたりして簡単ではないんですよねえ。よほど強烈なリーダーシップをもった強面の経営者でないと無理なのです。逆にそれができないと、ブラウン管TVでこの世の春を謳歌していたソニーやパナソニックが液晶TVに駆逐されてしまったような歴史(当時、ブラウン管のリストラと薄型ディスプレイの開発・転換で莫大なエネルギーを使ったのは事実です)を辿ることになります。

 

一方、サプライヤーのしがらみが全くないのがテスラのような新興勢やアップルやソニーのような家電勢。おまけに電池やモーター、半導体を取り寄せて組み立てるだけなので参入も簡単。差別化ポイントはデザインと意匠性、イメージ。まさに彼らのお得意分野ですな。おまけにソニーに至っては損保子会社も持っているし親和性抜群ですね。自動車はファッション家電だ、どうせ数年使ったら故障するから修理なんかしないで使い捨て、と言う時代が迫ってきているような気がします。