いきなり「手を繋ごう」
には、正直びっくりした。
でも、心の中ではガッツポーズをしている自分もいた。
(いやいや会ってまだ2時間笑)
(軽くない女ってとこアピールしとかないとね!)
手を繋ぐことは断ったものの、
悪い雰囲気にはならなかったので
予定通りヤスの行きつけの
バーで二次会をすることにした。
とても良い雰囲気のバー。
(こんな落ち着いてて、高級感あるバー
はじめて来た。ソワソワしちゃう。)
何組かのカップル同士が
しっとりした様子で
語り合いながらお酒を飲んでいる。
私は、
そんな雰囲気に飲み込まれないように
必死に「初対面」という空気を消そうとしていた。
「俺、全国転勤があるんだけどそこはどうかな?」
(お?話が、はやいな。)
「憧れる。いろんな土地に行って、それぞれの土地で友達作りたい!」
本音は
(友達作り苦手だなー...まーでも旦那さんいればいいか。実家大好きだから気軽に帰れなくなるのは寂しいけど。)
「結婚するなら地元が同じ人が良いって、先輩が言ってた。里帰りとか大変らしいし。」
「そっかー。言えてるね。」
ヤスは転勤族として働くなか、
偶然今は地元に配属になっているのだ。
つまりヤスにとって、私は先輩のアドバイス通りの相手なのだ。
(なんだか本当にトントン拍子に進みそうな予感。)
この日は私が終電があったため、
時間をみてお開きになった。
駅までしっかり見送ってくれるヤス。
次の約束もしっかりと交わした。
マッチングアプリで出会ったヤス。
初対面にしては手応えアリだった。
帰宅後、仲の良いグループLINEに報告をする。
日頃から身の回りの小さな出来事も
逐一報告している友達グループがあるのだ。
「今日ヤスに会ったよ!ほら、地元の友達に紹介してもらった37歳の人!」
そう。マッチングアプリで出会ったことは隠しているのだ。
「どうだったー?」
「うん。けっこういい感じかもしれん。」
「へー!どんなひと?何してる人ー?」
「見た目は特に普通なんだけど」
(本当はかなりブ。)
「仕事は外資系の会社で営業してるー!」
「えー!外資系ってことは年収良さそう!」
「うん。多分まー悪くはないと思う。」
私はこの時期、
自分だけが結婚もできず、
彼氏もいないという劣等感を
いつも心に抱えていた。
ほんの少し、ほんの少しでいいから
みんなが羨むような彼氏をつくって
「いいなー!」って言ってもらいたかったのかもしれない。
「また来週会うことになったから、進展あったら報告するねー!」
「うん!楽しみにしてる!」
こうして、マッチングアプリで出会ったヤスとのことを、少し隠して友達に報告していた。
(なんだか正直に何もか話せない自分に
情けなさもかんじるな...)
→次回、期待に胸が膨らむ2回目まして!