きょうのお歌 ワンダフルクリスマスタイム ポール・マッカートニー 1979年
二年くらい前だったかにも載せたが、どうせ削除だろうからまた上げるのだ。なんてったって好きな曲だからね。
師走に入り、やはりなんとなく世の中は忙しくなっている雰囲気だ。
同時にクリスマスが近づき、なんとなくせわしないのとウキウキした気分とが入り混じり、この時期は悪くないどころか実はけっこう好きだったりする。
僕の場合クリスマスまでに結構テンションが上がる、とまではいかないが、やはり気分的には上がり気味で、逆にクリスマスが終わって正月あたりは下がってしまう、という流れが若い頃からある。
昔高校時代だったか友人に「クリスマスと正月では、クリスマスの方が好きだな、雰囲気的に」と言っていたこともよく覚えている。
友人も同じ意見だったから、僕のような考えの人は実はけっこういるんじゃないか?
でもって、きょうの歌は、私の尊敬するP・マッカートニーの「ワンダフルクリスマスタイム」だ。
この曲、長い間、ジョンレノンの「ハッピークリスマス」とか、マライアの例のクリスマスソングやら、山下達郎やら赤鼻のトナカイやら、大瀧詠一のクリスマス音頭やら(うそだけど)の陰に隠れて目立たない曲だったが、近年けっこう人気が出ているようで、街ではむしろジョンのよりこっちの方がよく耳にする気がしている。
ジョンのは、ちょっと重いのである。クリスマスに反戦メッセージって、確かに解るけど、食ったケーキやら七面鳥だかトリのから揚げだかが消化不良になりゃしないか、という一抹の不安というか、なんとなく抵抗感もあったのだ。オノヨーコママり好きじゃない、僕は。
反してポールのは、明るくシンプルに、クリスマスを楽しみましょ、という造り。少なくとも僕にとっては、師走の入りからクリスマスまでの、せわしなくもウキウキしてくる気分には合った曲だ。ごちそうも気持ちよく腹の中に収まるであろう。
ちょっとうがった見方をすれば、ジョンの曲に対して意識的にポールが正反対のコンセプトで作ったのかもしれん、とも思える。この曲が作られた頃はまだ、ジョンとポールのビートルズ時代の確執が残っていたかもしれないし。もっとひねくれた見方をすれば、ジョン、お前も本当はこういう楽しみ方したいだろ、あるいはしてるでしょ、的な。
ポールのこの曲のシンプルでポップな良さがじわじわと評価され、人気が出てきたのと対照に、ジョンのはちょっと陳腐化してきたというか、やはり過去のある時代のメッセージが強く込められた曲は浮き沈みが大きいというか、普遍性が意外に欠けるということか。もっとも現在の世相からすれば、逆に平和へのメッセージは必要性を増しているとも思うので、そこのところは、よくわからん。
ポールが上昇すると同時にジョンが下降する、という図は、ビートルズの活動の流れの中にも実ははっきりあったと思う。
初期のジョンのパワー、スピード、感性(A HARD DAY'S NIGHTが一つの頂点)、それが次第に弱まり、逆にポールの才能がどんどん開花してジョンを凌駕していった。
そう、HELP、あたりがその転換点だったように思う。
天才が少なくとも二人もいたバンドは、経営も難しかっただろうな。実際は四人ともそれぞれ天才を持っていたから、なおさらだ。
話がそれた。僕はジョンとかポールとか言う前に、死ぬまでビートルズファン宣言、をすでに中学時代にしてしまった男だ。四人とも甲乙つけがたいくらい好きである。
だが、ことクリスマスソングに限って言えば、以前から圧倒的に、ポールの「ワンダフルクリスマスタイム」だ。ジョンレノンなら何でも素晴らしい、などと考えるのは逆にビートルズファンとは言えない気がする。このことは確信的に近いものがある。
きょうのクリスマスソング、シンプルでポップなメロディーや、単純に楽しもう、という曲想が好きだ。
だが、歌詞のごく一部、真ん中の方に、Ah, don't look down というセンテンスが出てくる。ただ楽しもう、という曲想や歌詞の流れからすると、この一節はちょっとひっかかるな。
やはり、ポールにもこの頃、単純にパーティーを楽しんでもいられない鬱屈なり、引っかかりなりもあったということか?