人形使いが旅に出る -2ページ目

人形使いが旅に出る

ダークファンタジーライトノベル

 

【Episode.2 そして少女は旅に出る】

 

 8

 

 

 

 

 

 街道へ続く南門に

大勢の人々が隊商の列を

見送りに来ていた。

 

門の手前でプッペが

複数の少年少女に囲まれ

何かを話しているのが見えた。

 

 それはマコマの友人達だった。

その中に

大きな白黒模様の熊人形に腰掛け、

魔女のような黒いワンピースに

身を包んだ女性を見つけた。

 

「みんな見送りに来てくれたの!?

ユーリエまで…うれしいっ!」

 

ユーリエと呼ばれた女性は

意地悪そうな笑みを浮かべ

マコマに応えた。

 

 

 

「…プッペのね

元気でね

私のかわいいプッペ」

プッペの後頭部を優しく撫でるユーリエ。

 

「はいでヤンス、ユリにゃんも元気でっ」

 

マコマは少し頬を膨らませた。

 

「………相変わらず、

意地悪オーラ全開だなぁ、もう」

 

 

代わりに、この町のガキ大将グリロが

しゃがんでプッペをなで回しながら

照れくさそうにマコマに声をかけた。

 

「お前らがいなくなると

つまんなくなるな…

折角いじめがいがあったのに…」

と憎まれ口を叩く。

 

たしかに幼い頃はこの二人に

よくいじめられた。

プッペが主な被害者だったが…

 

余談であるが

プッペの鼻の長い棒を

引っこ抜き、尻に刺して

尻尾にしたのはグリロだった。

 

 

 

 

耳や曲がったままの

鼻と口を付けたのはユーリエだが…

 

 

 

 

 

グリロは頭の後で

両手を組み、忙しなく

眼を泳がせながらと

マコマの顔を覗き見する。

ふとマコマの眼の周りが

埃で汚れているのに気がついた。

 

「…泣いてたのか?」

 

「えっ!?いやいやっ

泣いてないしっ」

と慌てて眼の周りを手でなで回すマコマ。

真面目な顔付きで

マコマを見つめて

グリロは問う

「……本当は行きたくないんじゃないか?

だったら、…行くなよ」

 

「……なんで?

私は行きたいんだよ

おばあちゃんの家見てみたいし

お父さんとお母さんのお墓に手を合わせたい」

 

「…そうか」

 

「半年くらいで

こっちに帰って来るよ

でもまあ、ナパ方面へ向かう隊商が

うまく捕まえられればの話だけど…」

 

「…そうか、ま、まあ元気でなマコ

あとプッペも」

「はいでヤンス、グリにゃん元気でっ」

 

 

 

 

 

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