人形使いが旅に出る -10ページ目

人形使いが旅に出る

ダークファンタジーライトノベル

 

 

 

【Episode.3それぞれの旅】

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっこれだっ!

これだから、こっちの女はイヤなんだっ!

慎み深くないし

思ったことをそのまま口する!

考えなしに大声で

ぎゃーぎゃー喚いて

自分の主張を通そうとする

子供そのものだっ!」

 

「まあまあ、周(ジョウ)君

それは明らかに偏見だろ?

そのへんにしときなさい」

感情を剥き出しにした

大人げない周(ジョウ)と

鬼のような顔になっている

マコマを交互に見比べ

チョビ髭商人のハキームは

狼狽しながらも諫める。

 

 

「なあに?沐宇(ムーユー)ちゃん

痴話げんか?うふふ」

 

暗闇の中からアプサラが現れ

ふわりふわり二人に近寄って

その渦中に割って入る。

 

 

 

「…い、いやちがっ

下の名前で呼ばないでくださいってっ!」

周(ジョウ)の顔が急に赤くなった。

 

「沐宇(ムーユー)ちゃんもさぁ 

いい大人なんだしぃ

子供相手にそんなムキになんなくても

いいんじゃな〜い?ふふふ」

 

割って入ったアプサラの胸を

チラ見していた周(ジョウ)は

耳を赤くして眼を泳がせた。

それに気付いたマコマは

周(ジョウ)に対して

さらに嫌悪感を覚え、イラッとした。

 

「だってコイツ、新入りのくせに

なんか僕のこと

下に見てるっていうか…

とにかく、無礼な奴だ」

前屈(まえかが)みで言い放つ周(ジョウ)。

 

「別にそんなつもりは…

ただ年相応に見えなかっただけで…」

 

「はいはい、仲直りね

これから先は長いんだから

こんなことで揉めないの、

わかったぁ?」

 

周(ジョウ)はスープの入った椀を

持ったまま、股間を押さえて

そそくさと自分の積み荷のある方へ

行ってしまった。

 

 

「……何あいつ、

ちょう最悪なんですけどっ

てか、なんでプッペ

私のこと援護してくれなかったの?

ずっと黙って見てて

この薄情者!」

 

「夫婦げんかは犬も食わないでヤンス」

 

プッペの頭を叩くマコマ。

 

「ふふふ、かわいいわねぇ

あっそうだ

今日は初めての夜で

寂しいでしょ?

後で私の天幕に来て

お姉さんがいっしょに寝てあげるわ」

 

「いえ、結構です…」

 

「まあまあ、遠慮はしないで

ナパでは随分

稼いがせてもらったから大丈夫よ

当分営業はしないから

他の人は来ないわ

安心して

ふたりっきりで寝ましょ?」

 

「…意味がわかりません、結構です」

 

「あ、そうか私、

お姉さんっていうよりお母さんね

お母さんがいっしょに寝てあげるわ」

 

会話がかみ合わないマコマは

とうとう根負けして

このお母さんと

旅の初夜を共にすることとなった。