(17)【Episode.2 そして少女は旅に出る】1 | 人形使いが旅に出る

人形使いが旅に出る

ダークファンタジーライトノベル

 

【Episode.2 そして少女は旅に出る】

 

1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 炊事場の窓から外を眺め

物思いに耽るキリコ。

 

 

 

 

 後ろの方でガタガタと音がして

キリコは振り返り溜息をつく…

 

 キリコの視線の先には

狭く急な二階の階段から降りて来た

眠たそうな顔をした少女がいた。

 

少女が怠そうに階段を降りて来ると

続いて小さな木人形も

一段一段、階段を伝って降りて来た。

 

 

 

 

 

 

「 おじいちゃん、おはよ〜」

 

「…おはよう、マコ

ご飯にしようや」

 

「は〜い」

 

 

「プッペや、ちょっと裏庭の薪を

何本か持って来てくれんかのぅ?」

 

マコマの後を付いてきた

木人形に話しかける。

 

「じいちゃん、お安い御用でヤンスっ!」

 

甲高い声でプッペと呼ばれた木人形は答える。

 

 裏庭へ歩いて行く

プッペの後ろ姿を見つめながら

キリコは思う。

 

(ほんに、こいつは

不思議な木人形じゃのぅ…)

 

 

今ではもう慣れてしまったが

その理由は、

プッペが明らかに自我を持ち、

さらに会話が成立するという

人形使いの常識ではあり得ないこと。

 

 ふつう人形使いが使役する人形は

主人の命令にしか従わない愚直な下僕。

 

自分で考えて行動したりしないし

ましてや喋ったりはしない。

 

そして木人形は主人の

精神力で操られているので

主人が寝ていたり

気を失ったり

死んだりすると

使役していた人形も

操り糸が切れたように

動かなくなる。 

 

 

 ただの木人形だったプッペが

初めて動き出したのは

ガティアが死んだ日からだった…

 

(そのことも何か関係があるんかのぅ…

しかも、成長しよる…

前よりも確実に、大きくなっとるし…

なんか怖いわぁ…

ばばあの呪いとか?

妖怪の類(たぐい)じゃろか?

プッペのやつは…

わしにぁ、ようわからんわ…

考えても頭痛うなるし…)

 

薪を抱えてよろけながら

炊事場に入ってきた

プッペを見つめるキリコは

内心、プッペに対して

少し恐怖心を抱いていた。

 

 

 

 

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