ジュースの原料である輸入果汁の価格高騰や円安の影響だ。病害で米国の生産が落ち込み、最大の産地ブラジルも天候不順で不作。コロナ禍前の2倍以上というからまさに「オレンジショック」だ
米国のオレンジが病害にあっているのは明らかに気候変動の影響によるもので、異常気象どころかすでに気候変動といっていい今の状況は報じられている以上に本当に深刻です。
日本国内ではみかん農家は後継者不足により廃農・耕作放棄も目立つようになり、これもまた問題になりつつあります。防除(農薬散布)が必要な作目のある果樹園を放置するとそこがたちまち害虫の温床になってしまい周囲に悪影響をもたらすんですよね。一軒の農家が廃業しただけの問題じゃ無くなってきます。今後みかんは江戸時代のころのような1kg10万円という高級品になってしまうかも知れません(さすがにそこまで行きはしないと思いますけどね)。
ところで記事中の鈴木梅太郎博士というのはこういう人です。
世界で初めてビタミンB1に相当するオリザニンという物質を発見抽出に成功した人。しかし残念ながら日本語論文のみでの発表であったため、世界的にその功績を知られるには時間がかかりました。
これほどの功績のある彼を農学者であるということで「百姓学者のごときが!」と公然と侮辱して徹底的に否定していたのが、あまりに有名な軍医で小説家だった森鴎外。
けっきょく森鴎外という人物は医者であっても既知の知識を整理することしかできない、ちょいとお勉強の得意なただの事務屋に過ぎず、そんなふうだから小説を書いてもクソ面白くないものしか書けなかったんだろうなと私には思えます。(当時から彼の小説に対する正鵠を射た酷評はずいぶんありました)
ところでこないだ、お上主催のスマート農業に関するフォーラムと展示会を見てきたのだけれど、なんだか上滑りしているなと感じてしまうものも結構ありましたね。そういうものはその開発者が実際の農業をまるで知らない。たとえば草刈機(AI搭載モア)ひとつにしても開発者の誰も自分で刈払機を使って草など刈ったことすら無い。これだけの面積を刈るのにこれだけの時間が必要でそれに用いる機械の年間維持費はこれほどで、という現実的な算盤勘定とは程遠い自己満てんこ盛りのロボットSFの世界を構築したい人々。こんな人たちがいったい何を以てデータなどという言葉を使って未来などという言葉を語っているのだろうと暗澹たる思いをしました。
井伏鱒二の山椒魚という小説がありますが、今の日本の(一部とは言い難い数の)インテリゲンチャはまさにあの、頭でっかちになって穴から出られなくなった山椒魚なんだと思いますね。私は穴の中の山椒魚に嘲笑される、右往左往するメダカの一匹でじゅうぶんですわ。