あのさ、農業なんて最終的にはお天気商売で、営農計画なんて6割実現できれば上出来な世界なんだよ。計画通りに完璧にはゆかないから去年の猛暑で米や海苔(あっちは水産だが)が不作になり今年になって寿司から果ては海苔弁までがお高くなっちまってるわけだし。

 

 

 

食糧安全保障についてはバブルがしょぼけてきた35年も前から農学者たちによって指摘されてきたのに今この段になってようやく焦っているのを見ると、まいどまいど先延ばしと泥縄式のことしか出来ないんだなこの国の中央は、と思わずにいられない。ま、その場しのぎのひらめきクソ野郎みたいな小賢しいのに限ってテメーで頭が良いと信じ込んでしまうのは今の時代に限らず世の常というものなのかも知れないが。

 

これと抱き合わせでスマート農業の導入をお上は進めようとしているわけだけど、医療分野のAIでさえ誤診率が八割を超え経験豊富な医師の判断にまだまだ追いつかないのが現実。農業はさらに膨大な知識と経験が必要な分野で、AIやそれを搭載した機械を導入したところで作業効率が上がったとしても生産効率が上がるとは限らない。むしろ管理不十分によって品質を均一に低下させるばかりか生産量そのもの低下をもたらすだろうし実際そういう事例も起きている。こんなもので得をするのはお上にすり寄って力ずくでそれを推し進めんとする一部の機械屋業界のみだ。最終的には実用的といえるところまで進歩するのかも知れないが、今のところ生産性が下がって生産物の単価が上昇するだけで消費者が得をするようなことにはならない。少なくとも性急に推し進めるようなものではないのは確かだ。

 

 

上から調子で100を作れと言えば黙って100が出て来ると信じているのが、人さまの懐に手ぇ突っ込んで財布を強奪することしか考えつかねぇ今のお上の病み具合。この国は「豆」を作ることを考えず、いかに美しく「豆」という字を書くかを重んじる国に退行してると思わざるをえない。