週末に今年度の部署の「出発会」が開催されました。

 

 コロナが落ち着いてから、というより、もうコロナを気にしなくなってから、飲み会がずいぶん増えました。良いことだと思います。

 

 会場近くの温泉宿に宿泊予約を入れ、飲む準備万端で、しっかり騒ぎました。

 

 それほど飲んだつもりはありませんでしたが、宿に戻って布団に倒れ込んだまではいいのですが、そのまま寝てしまい、ふと気がつくと部屋の明かりが点いたままでした。

 

 朝食の時間にもなっておらず、しかしトイレに行きたくなったので、朦朧としながら部屋付きの狭いトイレに向かいました。

 

 どうせ自分1人しかいないからと、トイレのドアは開け放したまま便座に座り込みました。

 

 そのまま暫く、開け放たれたトイレのドアの先にある、安い絨毯の床を焦点の合わない目でぼうっと見ることもなく見ていました。

 

 するといきなり、床がまるで異世界に通じているかのように地下へ落ち込んでいくように見えたのです。

 

 おわっ、異世界への入り口か!

 

 とは、全く思いませんでした。

 

 一昔前に流行った3Dパターンの応用です。焦点の合わない目で、たまたま右目と左目が異なるパターンを同じものと認識した時、左右の目の認識のずれを、脳が「立体」と勘違いして奥行きがあるように見えただけです。

 

 でも、面白かったので、便座に座って、下半身丸出しのいささか情けない格好のまま、「異世界への入り口」の風景を暫く楽しんでいました。