僕は、物語の中とか、マンガとか、架空の物語であっても、登場人物が不幸になる話は、あんまり好きじゃないのです。

 物語の最初の方では、勧善懲悪の話かなと思っても、最後でどんでんがえしがあって、しかもそれが、悲劇に進んでしまうような展開が、どうにも苦手です。

 思い入れが激しすぎるのかもしれませんね。

 『悲劇』とは、真実と真実のぶつかり合いによって生じています。

 だからですねえ、物語の最初の方で、一方の「真実」の方に与してしまうと(ほとんどは物語の『主人公』サイド)、最後のどんでんがえしで、これまで「悪」と決めつけていたもう一方のサイドにも「真実」があった事が分かったとき、ものすごく暗い気持ちになります。

 本当は誰も不幸になどなりたくなく、本当は誰も不幸になどなる必要はなかったのに、どこにも悪い人などいないのに、真実がぶつかり合い、『悪』が発生してしまう。

 そういう話が、どうにも苦手です。

 

  善人しかいない世界だからこそ『悲劇』が誕生するのだと、突きつけられます。

 


 先日、夜中までそんな物語を読んで、「しまった」と思いながら、憂鬱な気持ちで床についたのです。