同僚が職場に、なにやら大きな段ボールを持ってきた。
 中身は、新品の14型液晶テレビだという。
 
 「実は景品が当たっちゃってさ、でも、家族は『いらない』って言うんだ。
誰か引き取ってくれないかなあ。家電量販店では、4万円くらいで売って
たよ。」

 僕は、実家のブラウン管14型テレビが古くなっていた事を思い出して、
「1万5千円ならすぐ買いますよ」と申し出た。
 同僚は、「うーん」と考えて、「一応、みんなにもあたってみよう」と言い、
僕の申し出を保留した。

 次の日、同僚が職場のみんなに提案した価格は「3万円」だった。量販
店で買うよりも1万円は安い、ということだろう。職場の皆の反応は、一様
に「苦笑」といったところだったろうか。すぐに提案に飛びついた人はいな
かったようだ。

 ふと僕は、ネットオークションで14型の液晶テレビの相場はいくらだろう
と思い立って、調べてみた。
 有名メーカーの15型液晶テレビが、新品で1万5千円だった。

 さあ、もしも買い手がつかなかったら、同僚は僕の所に1万5千円で売り
に来るだろうか。
 
 僕としても、同僚が1万5千円で手を打ってくれたら、黙って引き取ろうと
思っているのだけれど。