〜渡る世間はクズばかり!!〜
私立探偵フィリップ・マーロウは、大富豪スターンウッド将軍に知人を通して依頼を受けた。
スターンウッド将軍曰く、スターンウッド家は強請られているという。
冷徹な長女ビビアン、幼稚で突飛な次女カーメン。
一癖も二癖もあるのが、この家だった。
依頼を承諾したマーロウであったが、調査中に殺人事件が発生!
これを発端として、マーロウは底なし沼に嵌っていく……。
レイモンド・チャンドラーの記念すべきフィリップ・マーロウシリーズ第一段がこの『大いなる眠り』。
本書は、かのハンフリー・ボガート主演で映画化されたりしてます。
で、今回は村上春樹訳での読了。大分前になりますが、今更の感想です。
あと因みに、村上春樹関連本はお初。
じゃあ、以下感想をば。
渡る世間はクズと基地の外ばっかじゃねーかッ!!
という具合でマーロウは今回も散々な目に…。
まあ、次作ほどではないけれども。
ほんとにね、まぁネタバレしちゃいますと、全ての元凶はスターンウッドの爺の出涸らし次女のカーメン。
こいつがね、まぁ〜超キ◯ガイなわけですよ!
で、富に物を言わせてカーメンのクソアマを精神病院送りにしない姉のビビアンのアホっぷりとチキンっぷりも相当なもんなんですな。
その癖、プライドだけはいっちょ前なんで非常にたちが悪い。
そこにズケズケと下心満載で入っていっちゃうマーロウ(笑)
本作でもチャンドラーは自身の短編集を幾つか繋ぎ合わせて作り上げたそうで。
どおりで、突貫工事的な雑さな感じがあるわけだわ。
現時点でシリーズは二作品読んでますが、どれもやはり突貫工事的な感じがある。
でも、そこが味があって大変良いんです!
で、フィリップ・マーロウをハードボイルドの化身みたいに思ってる人はちょっと考え直した方が良いかもしれない。
マーロウほど、汗臭くて人間臭い人はいないよ。
村上春樹訳版は、村上春樹のあとがきがかなり気合いが入っていて良いですね。
この人、チャンドラー大好きなんだなぁ、と。
でも、俺は『さらば愛しき女よ』が今のところ好き過ぎますよ。
『長いお別れ』を読めるのを凄く楽しみにしてる。
村上春樹訳ではないけどね。