~前号からのつづき~
結局予定日より9日遅れ、開き直って三重県の山の中を歩いている最中に陣痛がやってきました。
入院してからも、陣痛が弱く、一日目は陣痛の合間に薪割りをしたり、近くの公園まで散歩にいったり。
さすがに陣痛がきてからの散歩はきつかったですけど・・・・・。(涙)
不思議な事に仰向けになると、陣痛が弱くなるんです。
歩いたり、スクワットの姿勢になると途端に陣痛がやってきます。
結局ゾウさんにぶら下がってほとんどスクワットの姿勢で産みました。
重力の法則を体で実感しました。
最初の陣痛がきてから、37時間と長かったけれど、
赤ちゃんはゆっくり時間をかけて生まれてきてくれました。
実は吉村医院に決める前、とある助産院を見学に行った時、
「初産婦さんは、会陰とか切れやすいし、大変ですよ。
その場合ここは医療行為ができないので麻酔なしで縫います。
それでも階段は自分で上がってもらいます。
お産よりもその傷が痛いという方もいらっしゃいます。」
と脅され、結局初産婦さんは受け入れたくないオーラの助産院におじけづき、
悩んだ時に縁あって吉村医院にやってきました。
吉村医院の助産師さんにまっさきにその不安を聞いてもらったところ、
「うちではゆっくと時間をかけてお産をするので、ほとんど切れることはありません。
でも、たまに切れてしまうこともあるけれど、ほんの少しだったりします。
確かに縫うときに麻酔はしませんが、お産の直後の興奮状態の中なので
普通に感じる痛みとは全然違うと思いますよ。」
と丁寧に答えてもらい、私の不安が一気に軽くなりました。
助産師さんの言葉通り、時間はかかったけれど、
恐れていた「麻酔なしで縫う事」もなく赤ちゃんはつるりと出てきてくれました。
今回のお産を通して何かが私の中で変わりました。
お産についてあまり深く考えていなかった私は最初、
ちょっと変わった両親学級の雰囲気になんとなくなじめなかったり、
また院長の極端なものいいに、正直心の中で反発したり、いろいろとありました。
でも、、一貫して感じたのは、先生、スタッフ、助産師さん全員が本当に丁寧で温かく、
天使のようだったことです。もちろん、厳しいことも言われますが、その奥には優しさがあるんです。
一貫して、妊婦さんに不安を与えないようにという心配りが感じられました。
これは本当に大変な事だと思います。
院長は極端なこともいうので、言葉だけを捉えると、人によっては誤解を生むこともあるかもあるかもしれません。けれども今回、吉村医院のお産の考え方を自ら実践し、体感したことによって初めて院長の言葉の奥にある伝えたいことが少しわかった気がしました。
「お産」というのは産む時だけでなく、妊娠中の食生活、運動、そして家族の関係、その後の子育てなどすべてを含めてのお産だったんだと実感します。そして、それはつきつめれば、「人の生き方」そのものに関わる根本的な事なんだと感じます。
今まで「産む」という事に関して、「妊娠したら病院に行き、お医者さんにおまかせすれば赤ちゃんは生まれるもの」くらいの認識しか持っていなかった私にとって、今回の体験は「お産」の奥にあるもっと深いものを教えてくれました。
~終わり~