先日のブログ記事で下記について紹介させていただいた
イベントに行ってみました。
場所は夕張市の旧夕張小学校(現:共生ファーム)
19日は写真展最終日であり
「鹿ノ谷ゼミナール」が開催されるとのこと。
2016年3月のダイヤ改正で減便が予定されている
石勝線夕張支線について。
お話しいただいたのは
北海道新聞社 夕張支局長の佐藤元治氏。
炭鉱で町が造られ、炭鉱の閉山とともに衰退した町。夕張。
現在、9往復の列車が走っていますが
来春には4往復減の5往復体制に。
地元にとって非常に痛い出来事になるわけですが、
今回の話を2つの観点で聞かせていただきました。
①企業側の観点
②利用者側の観点
①企業側の観点
細かい事情は抜きとして、「企業」という根本的な考え方からいくと
不採算事業(路線)から撤退することは当然の選択。
JR北海道が減便を提示した理由というのは
老朽化した気動車を廃車にせざるを得ず、車両を新製する余裕もない。
よって、車両数が減ってしまうために運行本数を減らさざるを得ない。
というもの。
つまり、「利用者が少ない」という理由だけではなく、運行形態そのものが維持できない状態にあるということがそもそもの原因。
ちなみにJR北海道は、国鉄分割民営化から列車本数の削減は一切行っていません。
鉄道車両(気動車)を新製するとなると一両約2億円(普通列車)かかるといわれています。
中古を導入するという考え方もあるかもしれませんが、北海道という冬が厳しい条件に適合する車両は
北海道以外に存在しません。
過去の例でいうと、東北地方の寒冷地向けに造られた485系1500番台は
北海道で使用すると、トラブルが続出したそうです。
また、北海道は夏場30℃、冬場-20℃ 気温差50℃以上という
非常に特殊な環境でもあるため、
「北海道で問題なければ世界中どこでも使用可能」
(現に北海道を試験地に選んでいるメーカー多数)
と言われているほど過酷な条件であるため、
安易に中古車を入れることは選択肢として厳しいものだと考えられます。
非常に厳しい経営状態からすると、ご利用の少ない路線を減便するのは
企業という観点からすると当然のことなのかもしれません。
(むしろ今までしなかったことがスゴイことなのかもしれない)
②利用者側の観点
・現状の生活維持が困難
夕張に勤めているおばちゃんと1時間ばかりお話をさせていただきました。
「仕事後に列車で新夕張に移動して仲間・友人と食事(お酒)をして、最終便で夕張に戻ってくるのが日常の楽しみ。列車が減便されるとそれができなくなってしまう。」
「夕張の役所関係に勤めている方々は、仕事後に夕張の街中で飲食して最終列車で帰る人が多い。減便となると、仕事後すぐに列車で帰る必要があり、夕張のお店の利用者がいなくなってしまう。」
「日中、札幌の病院へ行き夕方に帰ってきている。減便となると時間の調整が難しくなり、日帰りできなくなる可能性が高い。」
「週に1度温泉に入るのを楽しみに列車で通ってくるおじいさんがいる。ダイヤによっては都合の良い時間に列車が走らず、それができなくなってしまう。」
「過疎地域、高齢者が多い地域ほど交通弱者が多い。鉄道がないと移動手段がなくなる」
「減便されると町の発展はありえない。衰退に拍車がかかり、最悪廃線の可能性も高まる」
地元の方の声が心に響きました。
たかが一人、されど一人です。
現在と同じ生活が出来なくなることで、生活環境や場合によっては人生観も変わりかねないのではないかと考えてしまいました。
長年地域に根付いて変わらず運行されていた列車が約45%も削減されてしまうわけですから。
自分がこの地域の住民だったらと考えると
憤りを隠せないかもしれません。
企業と利用者の考え方を埋めるのは
ものすごく難しいことです。
根本的な考え方が違うなと感じたことがあります。
それは、夕張のおばちゃんが言った一言。
「駅員さんに言われたのさ。「月に何回乗ってる?」って。それを言われちゃ何も言えなかったね。。。」
自分の足で現地に行き、肌で感じ話を聞くだけでも
いろいろなことを考えさせられます。
私には何もできないかもしれませんが
北海道の為に微力でも貢献していきたいと
思っております。
まずは「知ること」からですね。
第29回鹿ノ谷ゼミナールに参加された皆様
講演して頂いた北海道新聞 夕張支局長の佐藤さん
この場を借りてお礼申し上げます。
ありがとうございました。