夢のまた夢
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スイカ

丁度いい季節が短い。

じりじりと痛めつけられる暑さだ。


世の中がガラリと変わったこの十数年。今まで良しとされていたものが真逆の悪となる。

架空が本物に、はて、ホンモノとは?



太巻きを作るのにまず干瓢を戻して、椎茸を煮て、胡桃を割って、寿司桶を洗って、海苔を焼いて、巻き簾と、えっと、なんてことを当たり前にやってたかーさんが、スーパーへ行ってカレイの煮付け一切れを手に、買おうかどうしようか悩んでる姿が悲しい。

老いが病が蝕んでいく痩せた身体で、つまらないことに「ありがとう」「ありがとう」と頭を下げてくるかーさんが本当に悲しい。


悪阻がひどかった時に、かーさんが届けてくれた焼きそばを泣きながら食べました。

私はおばさんになってもかーさんの娘である。かーさんもそのまたかーさんの娘のであったとは夢にも思わなかった。

逞しく生きねばならん。


せっせとカレイを煮る。

スイカを届ける。




初詣

善光寺

大吉

破魔矢

太巻き

筑前煮

ひたしまめ

黒豆

白菜漬

大根甘酢漬け

鮭の粕汁

年賀状


バトミントン

石油ストーブ

エプロン


どうすればいいんだろう。


カルパッチョ

甘栗

南京豆



お礼も云えぬまま

遠くへ旅立たれてしまわれた。

ご無沙汰して随分と時間が経ってしまった。

菩薩様のようにいつもいついつもいつも優しく接してくださった。

今思えば、毎週毎週の木曜日が、どれくらい汚くひねた私を正して慰めてくれただろう。唯一の救いだったと思う。

襖を開けた向こうの松風、温かい眼差し、穏やかな話し方と可愛らしさと。たくさんの愛情をいただきました。

一期一会とはよく言ったもので、本当にいろんなことに感謝せねばならない。

とてもかなしいです。

きちんとお礼も言えずお別れになってしまったこと、寂しい限りです。

ありがとうございました。

ありがとうございました。





たわごと

私の解放日誌をみた。
とてもよかった。

かーさんと出掛けた。
倒れるかと思う暑さのなか沢山歩いた。
いつか振り返るときが来たときのために、しっかり憶えておかなければと、また、いつものように強く思った。

隣のテーブルのカーディガンを羽織った有閑マダムが嫌だった。
これも劣等感だ。

「これも食べていいよ」と寝言を言った。
口を空けて寝ている息子。
幸せであれ。
幸せであれ。


バレンタイン

今日憶えておくこと。
駅までの散歩。
コートの端を掴む手。
アイスクリームを食べたいと怒る。
百貨店の化粧品売場で美容部員に「イケメンですね」と言われ、思わず悲鳴をあげてしまった。
まんざらでない息子。「あんなこと言われたの初めて」と恥ずかしがる。相当嬉しかった模様。もちろん、私はその100倍嬉しかった。が、ウケる。この造形でイケメンはない。
雪に埋もれたブランコ。
短い黄色のスノトレ。
掻き出し漕ぐ無邪気な息子。
重たくなった身体を支えきれず遊具に上れなくなり歌う。
あの頃みたいに動きたいんだ~
パッタイ頬張りたんまりするー
寝ぼけて話す。
「またあとでねっ」
どんな夢をみているのやら。
小さいときの話をしてくれとせがむ。
健やかにあれ。
健やかに。
とにかく健やかに。


デンデンムシ

晴天。
日陰はつるつるに凍った雪が残る。

毎日日記をつけようと思ってすでに出来ず。
フィフティーピープルからハンガン。
おみくじは小吉。
一秒前より良くなるように努力せよ、と。
努めよ、と。
どこで誰が見ていたんだろう。

かーさんの補聴器メンテナンスに付き添い。
三代で。
カタツムリを耳に装着。
脳に指令を。
世の中知らないことばかりだ。

近い将来ママも聴こえなくなるから、その時は付いてきてね。頼むね。

三人でいると今日が今日しかないと、ひしと感じる。今この瞬間はすぐに過去になってしまう。過去になる今を記憶として憶えていられるだろうか。

焦げた達磨やマシュマロの刺さった枝、みかん、泥だらけの長靴、後ろ姿。スルメ。書初め。どんど焼きの風景。

いい人間になれますように。



平穏な暮らし

2年ぶりに甥っ子姪っ子に会う。
にょきにょきと真っ直ぐ伸びた背、声変わりした聞き慣れない声、表情に、こちらがはにかみ、何故だか涙がじわじわ止まらなかった。
涙腺も老いるのだ。

目に見える成長。まだまだ無限に伸び代のある成長の光。
若さって素晴らしい。
素晴らしい。


2022

あけました。
あけました。
ふかふかの雪。積もる雪。

全て隠して寒さに耐えて春を待つ。

今年はマメに生きよう。
過ごさぬよう生き抜こう。
強い意志をもって。
頑張ろう。


コマオ

コロナ禍。
もれなくNetflixのお世話になり、どっぷり韓流に浸かり、ほぼ駄目人間。
応答せよから賢い医師生活、刑務所のルールブック。二十歳からエクストリームジョブ、恋愛体質。ここは深い沼だー

まだ手を繋いでくれる我が子のパーカーが着られるようになってしまった。
なんということだ。

ママー
カレーは金曜日にしてー

なんで

カレーは金曜日があうんだよー



なるほど
いやまったくなるほどではないんだが

ふーん。

ああ、この子が健やかに健やかに飛び立っていかれますように。
暗闇も迷いも後悔も絶望も乗り越えて立ち上がれますように。
がんばれがんばれと思うばかり。
がんばれー
がんばれー




アジアン

久しぶりに上京。
雨と傘と湿度と人混み。saleの呼び込み、騒がしいBGM、電車の音、色。色。色。
ここはパッポン通りかミョンドンか。

新宿伊勢丹はいつの間にこんなにワールドワイドにキンピカに不夜城になってたんだ。オラ知らなんだ。

色白で透けるような肌にはトゲの付いた首輪。
真っ赤な口紅。
いつぞやの韓国だ。
若くてみんな可愛い。

すごいなー
そうかー
東京はアジアなんだなー。

田舎に居てはわからん時の流れ、時代の移り変わり、今。
今。今。今。活力。
この国は、どこなんだろう。
ここはどこだろう。

店員さんと言葉が通じたのが今日ほど不思議に思えたことはないかも。
過去から今日へ、今日の新宿へやって来た、そんな気がした。

明日はどこなんだろう。

帰宅し、高層ビル一つない山に囲まれた我が町と、時空間の違いを感じた。

刺激ってのが一番大切かもなー、と思う。




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