(撮影 藤村大介)
タージ・マハルです。
美しいですね。
インド・イスラム建築の最高傑作の世界遺産ですが、これはお墓、霊廟なんですよね。
インドの皇帝が亡くなった妃のためにつくったものだとは聞いたことがありましたが、
写真家の藤村大介 さんのブログにとても興味深いお話がありました。
藤村さんのブログより
「タージ・マハルは16世紀頃に現在のモンゴルあたりから中部インド辺りまでを統治していた王朝、ムガル帝国の第5代皇帝「シャー・ジャハーン」により建造されたインド・イスラム建築の最高傑作です。
シャー・ジャハーンは妻のムムターズ・マハルを非常に寵愛し、またムムターズも夫を愛していました。
しかしムムターズは36歳の若さで産褥死してしまいます。
途方も無い悲しみに落ちたシャー・ジャハーンは、妻が死の直前に自分の墓を建てて欲しいとの約束を守る為、それから22年もの歳月をかけてタージマハルを建造させました。
これがタージ・マハルで、タージ・マハルは霊廟なんです。
イスラムのモスクか、宮殿か、なんて思われがちですけどね。
2枚目の写真に写っているヤムナー川の対岸には、黒大理石を基調としたシャー・ジャハーン自身の霊廟を建造し橋で結ばれる予定でしたが、晩年、息子のアウラングゼーブ帝によりアーグラ城に幽閉されてしまいます。
理由は諸説ありますが、タージの建造に莫大な国費が費やされ、国庫が底をつくほどの出費が続いた為とも言われています。」
シャー・ジャハーンの妃ムムターズ・マハルは産褥死していたんですね。
産褥死、って聞きなれない言葉だと思います。
出産直後の時期を「産褥期」といいますが、この時期に何らかの原因で亡くなることです。
ムムターズの詳しい死因はわかりませんが、産褥熱、と表現されるような何らかの感染症を起こしたためか、
あるいは産褥出血といわれるお産後の出血が原因ではないかと思います。
産褥熱で亡くなることは今の日本ではほぼないと思いますが、衛生環境や栄養状態が悪かったり、抗生物質など感染症治療薬の乏しい時代、地域では多くの女性が命を落とす原因の一つとなります。
産褥出血は、一気に1000、2000、3000ccとコントロール不能な出血になる場合もあり、現在も産科救急の分野で大きなウェイトを占めています。
これについてはまた別の機会にお話したいと思います。
それにしても、シャー・ジャハーンは幽閉されてからも毎日タージ・マハルを眺めて暮らしたそうですが、タージ・マハルの見える場所に幽閉してほしいと、自ら懇願したのでしょうか、
それとも、息子の父帝へのせめてもの温情だったのでしょうか。。。
藤村さんのタージ・マハルの記事はこちらです
写真家 藤村大介オフィシャルブログ 03月04日 「タージ・マハル」