IBMA極真会館岡山県大会に行ってきました。
香川の選抜チームも参加しており、岡山対香川の試合は、特に白熱していました。
私は、フルコンタクト空手の選手の情熱や身体能力を活かせば、もっと面白いことができると、いつも思います。しかしながら、システムやプロデュース等が旧態然として…。ただ、選手の頑張る姿は、いつも素晴らしいと思います。
今回、役員席から撮った、試合前の写真と岡山県大会のパンフレット用に書いたメッセージを載せておきます。この原稿は、結局、掲載していません。いつもながら、大仰なので…。昔、妹に言われたことがあります。お兄ちやんの話は大きすぎる、と。おそらく、みんな同じことを思っているに違いありません。だから、もう…。
IBMA理事長からのメッセージ2016
増田 章
【これからの空手界について】
3年前、2020年オリンピックの東京開催が決定しました。その東京オリンピックで空手が追加競技として、ほぼ確定しています。空手がオリンピック競技となれば、空手の再認知が世界中でなされるに違いありません。
それに伴い、我々空手人に対する、社会的責任も高まると、私は思っています。ゆえに、これからの空手界は、それなりの心構えを有する必要があると考えています。さらに、その心構えの有無と内容によっては、空手界発展の好機を逃すことになると思うのです。ここで、空手界に対する私の思いを、少しだけ述べさせていただきます。
現在、空手界は多様な流派が乱立し、空手界と言う認識も希薄のように見えます。また、すべての流派、愛好者がオリンピック競技に関わっているわけではありません。ゆえに、空手のオリンピック競技化に関して、実質的には無視というような立場を取る人も多く存在すると思います。また、空手界と個人との間には関係性がないと考える人も少なからず存在するのではないでしょうか。しかしながら、空手界外部の人からすれば、オリンピックにより、空手が同一のものとして注目され、現実の諸問題が鮮明になっていくように思います。私は、各流派の小異は別として、オリンピックを契機に、各指導者が大同を認識し、より良い空手界の形成への一歩を踏み出す必要があると思っています。また、「斯界のより善い発展には、それを構成する人間のより善い人格形成が必要条件である」という現実認識を持つ必要があると考えています。平たく言えば、「空手人が人間的成長を果たせば、必然的に空手界もよくなる」ということです。さらに補足を加えれば、空手愛好者一人ひとりが空手道と空手界を善くしたいと考えるようになることが必要だと思います。
【21世紀の武道人(BudoMan)
ここで、空手界における私の立場を述べておきます。私の立場は、自らの空手流派を伝統と独自性を内包する日本武道として確立したいというものです。しかしながら、スポーツと云う普遍化した価値観と空手道、日本武道が融合することに反対、批判する立場ではありません。なぜなら、時代背景を基盤とする価値観は技術革新等により、変化するのが当然だと考えるからです。ゆえに最も重要なのは、変化する事象の本質を探究し、より善いものを再創出して行くことだと考えます。補足を加えれば、武道も時代背景を基盤とした価値観の総体なのです。よって武道を人間形成に役立たせるのであれば、伝統は伝統として尊重し、その上で変化していくのが当然なのです。同時に価値観の画一化という、時代状況にも流されないようにすることも重要だと思います。私は、これまで我々が信じてきた、勝負偏重主義の中にも、価値観の画一化へ向かうウイルスのようなものが潜んでいたのではないかと疑っています。また、「多様な伝統的価値観を認めつつ、より本質的かつ普遍的な価値観を共に創出していく」というように、軌道修正が必要だと思っています。私がIBMAの創立当初に提唱した、「21世紀の武道人(BudoMan)」とはそのような大きな目標を持ち、新しい武道界を創出していく人間のことでした。
【国際的人格形成】
これまで国際武道人育英会は、空手を手段に、国際的人格形成を目指した活動をしてきました。ここでいう人格形成とは、自己のバックボーンである文化性(価値観)を認識しつつ、他者のそれ(文化性)を尊重できる人間となることです。また、既存の多様な文化性(価値観)を包摂できる、より普遍的な文化性を生み出していける人間をめざすことです。
今私は、国際武道人育英会・極真会館の長として、これまで以上に、団体として襟を正し、人格形成について深く考えて行きます。そのような心構えと理念を核に、微力ながら、これからの空手界のより良い発展に一助となりたいと考えています。また、勝者となることのみならず、負けることをどのように受け入れ、昇華して行くかが心の修練で重要だと考えています。さらに、勝敗を超越した、真実(まこと)の勝利をいかに掴み取るかが、勝負の道における心の修練のテーマです。そのように考えて行けば、より善い社会の創出という目標に対し、スポーツと日本武道が共闘、共創、共存していけるものだということが、ご理解頂けると思います。
最後に、IBMA極真会館の空手競技大会は、オリンピックを目指す大会ではありません。しかしながら、「人格形成の手段」という点では、それに勝るとも劣らない志をもって開催するものです。何卒、IBMA極真会館の活動理念に対する、より多くの皆様の理解と協力をお願いします。
