「ノックアウト」を見て、私は山口元気代表にノックアウトされた
私は、「ノックアウト」というイベントを観て、そのプロデューサーである 山口元気代表のことを、すっかり好きになってしまった。「なぜ?」と聞かれたら、私はこう答えるだろう。
新しい枠組み、すなわち新たなプラットフォームをつくろうとしていること。選手のモチベーションを高めることを、真剣に考えていること。そして、誰に対しても尊大になることなく、終始フレンドリーであること。
この三点である。また、山口氏のスタイルは私自身が人と接するうえで理想としてきた姿勢と重なっていた。
実は昨年十二月三十日、私は「ノックアウト」のイベントを観戦した。私はKWU SENSHI JAPAN の宮原氏が試合に出場していたこともあり、体調が万全とは言えない身体を引きずりながら会場へ足を運んだ。そして観るなら前座からすべて観ようと、昼過ぎには会場入りした。だが、メインイベント終了まで、実に八時間を超える長時間の興行だった。
誤解を恐れずに言えば、これが空手の大会であったなら、相当なストレスを感じていたはずである。実際、八時間以上ほとんど何も口にせず試合を見続けていた。ところが、結果はまったく違っていた。私はその長時間を、苦痛ではなく「楽しんで」いたのである。私はその理由を考えた。まず思い浮かんだのは、前座からメインに至るまで、一貫して良い試合と選手の高いパフォーマンスを観ることができたこと。次に、試合のルールとスタイルが「レッド」「ブラック」「アン・リミテッド」の三種類に分かれており、観戦に飽きが来なかったこと。さらに、選手全体のレベルが非常に高かったことも大きい。
加えて、観客にペンライトを持たせる演出や、選手入場時の音楽も、私の好みに合っていた。メインイベントの選手のコスチュームも印象的で、いずれの選手もファンに見られることに慣れているように感じられた。もちろん、人によっては異論や批判もあるだろう。しかし全体を通して、この大会は、山口会長の野心とチャレンジ精神に満ちたイベントだったと私は感じた。その点が、率直に「素晴らしい」と思えたのである。そして、気がつけば私は、山口元気会長を好きになっていた。
試合開始前、私は山口元気代表に挨拶に伺った。そのとき返ってきた言葉は、ただ一言、「楽しんでいってください」だった。私はその言葉どおり、心から楽しむことができた。あれほど長時間だったにもかかわらずである。
少し恥ずかしい話だが、私は以前から睡眠障害があり、眠れない夜が多い。イベントの後は特に、疲れていても神経が高ぶり、眠れなくなることが少なくない。床についてもすぐ目が覚め、何度も起きてしまう。ところが、その日の帰り道では、不思議と強い疲労感を覚えなかった。おそらく、良い意味で大量のアドレナリンが出ていたのだろう。会場を後にし、駐車場へ向かう途中、足は痛く引きずるように歩いていたが、年甲斐もなく「リングに上がって戦いたい」と思ったほどである。
私は、すべての選手の名前を覚えているわけではないが、日本人選手の中で特に印象に残ったのは、「龍聖」「海人」「大夢」の三選手だった。そのほかにもいたはずだが、彼らはいずれも有名な選手だと、同席していた友人から教えられた。
約一時間半かけて帰宅し、シャワーを浴びて床についた。もしアドレナリンが出続けていたなら、眠れなかったはずである。しかし、連日の不眠で疲れていたのか、その夜はよく眠ることができた。思うに、疲れを感じなかったのはアドレナリンの作用というよりも、過度なストレスを感じさせない、良いイベントだったからこそ、自然に眠れたのではないだろうか。
最後に、私が初めて山口元気代表に会ったとき、失礼ながら、格闘家とは思えないほど柔らかな物腰の人物だと感じた。そして、新しい試みとして、八角形のリングで行う「アン・リミテッド」を観て感想を聞かせてほしいと言われたことがある。当時は忙しく、きちんとしたコメントを返せなかったが、今回の観戦で、その意味がよく理解できた。
「良いか悪いか」については、さまざまな意見があって当然だろう。ただ、実力ある選手たちが彼のもとに集い、共に歩んでいる姿を見て、私は自然と応援したくなっている。おそらく山口元気代表は、友人たちから「元気」「元気ちゃん」「元気君」などと呼ばれ、親しまれているに違いない。私が伝えたいのは、山口元気代表は、きっと“愛される存在”なのだろう、ということである。


