皆様こんにちは。江戸川区議会議員のます秀行です。


今日は、第二葛西小学校改築工事における『工事代金支払に関する問題提起』と題し、このブログ上で問題の本質を明らかにして参ります。

これまで、第二葛西小学校の耐震強度不足が疑われる本件について、3回に渡って記録を残してきました。それぞれにサブタイトルを付けるとすれば以下のようになるでしょうか。


第二葛西小学校の不適切工事(コア抜き)を追う!  

★問題の概要と区議会での質問

第二葛西小学校の不適切工事(コア抜き)を追う! Vol2

★専門家の見解

第二葛西小学校の不適切工事(コア抜き)を追う! Vol3

★コア抜き工事とは


4回目の今回は、ここに至るまでの業者と区役所のやり取りと法律的背景を記して参ります。


まず、第二葛西小学校建設に関し、いわゆる本体工事の建築工事と設備工事はそれぞれに契約が行われる事となりました。(分離発注)今回、問題視されている業者は、平成24年2月9日に開札された入札において、空調設備工事を2億8,300万円、給排水設備工事を1億8,600万円でそれぞれ落札しています。平成25年12月には竣工となっていますので、当然区役所からは契約金額は全額支払われています。もちろんここまでは何の問題もありません。不適切工事もこの時点では発覚していないわけですからね。


しかし竣工から2年経った今年、これまで記したように不適切な工事が行われていた事が発覚しました。この件に関し、現在区役所の調査中との事ですので、結果が出るまでは業者の責任を追及できるものでもありません。しかし仮に調査結果が不適切工事の問題を大きく捉えるようなものであれば、区役所は賠償請求をしていく事になるわけです。


と、まぁここまでも自然な流れです。


しかし、ここで別の問題がある事に気が付きます。この業者はすでに落札している次の小学校建設現場で同じ設備工事を行おうとしているのです。学校は篠崎第三小学校です。区役所によると、12月現在では建築工事が主体であり、設備工事は年が明けてからとの事です。現在、区役所はこの業者が行った工事箇所を全て確認調査を進めている訳です。つまり調査中という事は白か黒か分からない状態だという事です。また調査にも時間が掛るため、結果はおそらく年明けとなるでしょう。

このタイミングは何とも難しいものですが、疑いがある段階で次の工事を差し止める、あるいは契約を解除する方法はないのでしょうか?


ここで篠崎第三小学校の入札を振り返ってみます。

開札されたのは平成27年1月。そのご7月7日には議会の承認を得て正式契約。契約金額は4億4,350万円。まだこの時点でも第二葛西小学校の問題は発覚していない為、この契約にも問題はありませんが、この入札には問題があったと私は考えています。

当時もたった一人でしたが、議会においてこの議案に『談合の疑いあり!』として反対票を投じ、討論も行っています。 ( 詳しくは 談合の疑いあり!反対討論 より )


実はここで、問題になってくるのが『前金払い』というやっかいな制度です。江戸川区が定める契約事務規則の50条において、


『 土木、建築及び設備等の工事 契約金額の四割を超えない範囲内の額 』 を前払いできるとしています。これはもともと建築や土木工事において、工事開始前に必要な材料の調達等に多額のコストが掛るために認められている制度です。今回もこの業者から区役所に対し、7月7日に前金払いの請求があり、江戸川区から業者に対し4割に相当する1億9,200万円が支払われました。


一旦時間軸で整理をしておきます。


H24 2月  第二葛西小学校 空調給排水工事を落札【計4億6,900万円】

H25 12月 第二葛西小学校 竣工【工事代金支払済】

H27 1月  篠崎第三小学校 機械設備工事を落札【4億4,350万円】

H27 7月  前金払い請求  【1億9,200万円】 …支払い済

H27 11月 第二葛西小学校における不適切工事発覚 

     

    ---  現在区役所による調査実施中 ---


H27 1月以降 篠崎第三小学校の設備工事に着手予定


という事になります。ようやく本題に入ります。

このように疑いがある中での調査は続けて行われますが、この時点で次の工事を差し止めるなり、契約を解除するなりの手段はとれないのかという事です。『疑わしきは罰せず』とは法治国家の基本中の基本ですが、不適切工事の履歴伝票など一定程度の状況証拠が揃っている状態でですから、このまま工事を依頼してしまうというのは、子供を学校に通わせる親の心情を思い計ればとても受け入れられるものではありません。


では、本件において法的に契約解除はできないのでしょうか?


江戸川区が契約時に交わす『工事標準契約約款』の第39条には、発注者である江戸川区の契約解除権がありますが、この内容は工事に関する能力部分を追求したもので、業者の資質に問題がある場合は想定されていません。私は法律家ではないので、詳しくはありませんが、41条にある協議解除は十分に適用が可能だと考えられます。


つまり、『区役所と業者が話し合って、工事から降りてもらう』という事です。

調査結果が出ない今の段階では、これがベストの選択ではないでしょうか。もちろん契約が解除になる訳ですから、前払いした1億9,200万円も返還してもらわなければなりません。


これが今回の問題提起となります。

私の議会での質問に答えた区役所の答弁に『然るべき対応』がありました。どうか区民の財産を守る観点からも『然るべき対応』に期待をしたいものです。