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Remarks

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「Weltenende」 2010
カナダのブラックメタルバンド A Winter Lost のアルバム。
ブリザードの如き凍える叙情を奏でる悲哀に満ちた作品。ギターは吹雪担当と言った感じで、メロディを引っ張るのはキーボード(キーボーディストが不在だが)。女性ヴォーカルによる病んだ喚き声はかなり絶望的だが、メンバーの様子はそれほど暗くはない。

1.「Der Schrei」
 メインフレーズは荘厳な雰囲気。雪山の厳しさをそのまま音にした感じ。
2.「Weltenende」
 悲しげな旋律が延々と奏でられる中、中盤で入るクリーンギターと女性コーラスパートは一種の救済のよう。
3.「Aus Der Welt」
 アコースティックギターとコーラスを随所に織り交ぜ、寒々しくも神秘的な美しさのある音像に出来上がっている。
4.「Der Träumende」
 物静かな冒頭のアコギパートから一転、全てのパートが一体となって遣り場の無い感情を吐露するかの様に迫って来る。
5.「Der Sturm」
 抑えきれない悲しみを爆発させる前半、転じてアコギをバックに粛々と女性ヴォーカルが歌い上げる後半のコントラストが印象的。
6.「Lied」
 悲哀だけでなく若干の禍々しさも感じられる短いナンバー。

雰囲気モノのブラックとしてはまずまずの出来栄え。寒々しい世界観に浸ろう。

「Der Schrei」
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「Intrinsic Indecency」 2010
スイスのスラミングデスバンド Amagortis の3rd。
ジャケットのひどさだけで50点くらいあげたい気分だな。このバンドもスラミングデスの括りに入っているらしく、聴いていると確かにスラミングパートと言える部分は存在している。ただまあこの前の Vulvectomy よりも展開が早いためかそこまで意識させるものでもないかな。個人的にはコッチの方が聴き易い。

1.「Anal Apoptosis」
 遅めのブラストで突進。ギクシャクしたリフが印象的。ベースソロがちらっと顔を出す。
2.「Lacerate. Sever. Burn.」
 なかなかメリハリのある展開。少しファニー。
3.「Misplaced Mastectomy」
 冒頭のSEが、……な感じ。この曲もリフが凝っている。
4.「Intrinsic Indecency」
 畳み掛ける様に展開する序盤と終盤が好き。
5.「Drenched in Diarrhea」
 デブが踊っているみたい。ヴォーカルが醜悪。
6.「Carnivorous Crackpipe Consumption」
 中盤の異空間みたいな部分が印象的。宇宙を感じた(?)
7.「If you Can't Fuck It, Dukt It!」
 のっけから高速ブラストが飛び出してきてビックリ。勢いがあり、テンションが上がる。
8.「Methamatics of Panic」
 この曲も一瞬だが高速ブラストが入って来る。静と動がくっきりしている。
9.「Cannibal Obsession」
 割と普通のUSデスチックなリフ。Cannibalなだけに?昂揚感のある曲調。
10.「Pulmonary Insemination」
 小刻みなギターで疾走。なんか前半の曲とかなり血色が異なる。
11.「2 S.H.C.」
 これはギャグナンバー。ヴォーカルが遣りたい放題。
12.「Acrotomophillac」
 珍しくツインリードなんぞを披露している。マーチみたいな曲調が面白い。

似た様な曲の羅列ではなく色々試みており、なかなか聴き応えのある作品だった。

「Intrinsic Indecency」
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「Antihuman Antisocial」 2010
ウクライナのグラインドコアバンド Painful Defloration の3rdアルバム。
ハッハッハッ。こりゃ良いね。激烈スピードで全てを振り切る音速Grind!ブルデスバンドも掛け持つドラマーの、キレと超速を兼ね備えたドラミングはMG42の如し。人体切断大隊全滅。あとギターが所々メロディックで叙情的とすら思えてしまう部分も。ヴォーカルは怒鳴り散らすグロウル。

1.「Don't Stop Violence」
 ノンストップで一気に突き抜けるブラスト地獄。
2.「Grind Till You Die」
 冒頭のフレーズがメロディック。この曲も終始走りっぱなし。
3.「Subculture Genocide」
 暴虐なリフで特攻。
4.「Stand For Nihilism」
 何物も寄せ付けない怒涛のブラスト嵐とほのかな叙情。
5.「Lack Of Reality」
 ギターが微妙に叙情を醸し出す部分が有る、と耳を傾けている内に終わってしまう。
6.「The Loud Underground」
 この曲は何だか暗黒面に片足突っ込んでいる。
7.「Beyond All Lies」
 ダーティにメロディック。終盤でシンセを使ったりしている。
8.「Antihuman Antisocial」
 休みなくブッ飛ばす1分33秒。
9.「Of False Authorities」
 やっぱり端々にほのかなメロディが感じられる。面白い。
10.「Alone But Strong」
 ブルデスっぽい始まり方。これだけ叩いてよく疲れないもんだ。
11.「Profit For Golden Coffin」
 最初は溜めて、一気に特攻。容赦ナシ。
12.「Hatred Gave Me Wings」
 この曲も良く聴くとブラストの裏でメランコリックなフレーズを弾いている。
13.「The Gallows Swing」
 全体的に躍動感がある。
14.「Comin' Home (Deep Purple Cover)」
 ああそうかこいつらハードロックが好きなんだ。それはさておき、このGrindカバーはなかなかイかしてますぜ。

メロディックグラインドなんて新ジャンルを切り開いてしまいそうな勢いの希有な作品。メロディなんて邪魔だと思う向きもあるだろうが、私は肯定的に捉えたい。カッコイイからね。

「Stand For Nihilism」
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「Fi'mbulvintr」 2010
Falconer や元 Mithotyn、Dawn のメンバー等が参加するスウェーデンのヴァイキングブラックバンド King Of Asgard のアルバム。
なんと言うか、おかえりなさいだね。Mithotynの復活みたいなモンですよ。イモ臭さと勇壮さ、そして野郎の哀愁、これら要素が熱くぶつかり合って織り成す悶絶のヴァイキングブラックサウンド。良いねえやっぱり。コルピとか Equilibrium とかが隆盛な今だからこそ俺達がやっちゃるぜと言う気概でしょうか。二本のギターだけでもこれだけやれるのだと。

1.「Intro」
 明らかに、これからやるぜと期待させるイントロ。
2.「Einhaerjar」 Good!
 ツーバスを踏み鳴らしドコドコスタート。この、すぐ分かるギターの音とメロディの落とし具合はどう聴いても Mithotyn。待ってましたと。一発目で一気に世界観に引き摺り込む。
3.「Vaemods Tale」 Good!
 哀愁のクサトレモロを撒き散らしながら疾走。うーん、槍と盾を手に取りたくなります。
4.「The Last Journey」 Good!
 ケルティックな女性ヴォーカルの独唱に続きエピックな雰囲気満点でMarch!March!これぞ戦士達の凱歌だ!
5.「Never Will You Know Of Flesh Again」
 随所にブラストを挿入した、決戦真っ最中と言った緊迫感に満ちた曲。
6.「Wrath Of The Gods」
 この曲も冒頭からブラスト炸裂。中盤に疾走を挟んで終盤にはこれまた胸にグッとくる哀愁パートが。
7.「Snake Tongue」
 前奏と後奏が大半を占めるのでヴォーカルパート少なし。それは別に良いけど、結局印象薄になったかな。
8.「Brethren Of The North」 Very Good!!
 ぐはっ!疾走感溢れるヘドバンチューン。メインフレーズは今作中で一番好きだなぁ。随所で登場する漢コーラスも熱いぜ。引き際、カッコ付けちゃって
9.「Day Of Sorrow」
 少しメロデスっぽいリフ。土を一歩一歩踏みしめる様に確実に進行。
10.「Lingering A Sacred Ground」
 チラッ、チラッ、と正統派ヘヴィメタルのエッセンスを匂わせるのがニクイ。引き際にちょこっとチェロが登場。
11.「Heroes' Brigade」
 この曲のやや内向的な旋律などは今まであまり聴けなかったものだと思う。この辺りは Mithotyn との差別化要素だろうか。
12.「Strike Of The Hammer」
 終盤を飾るにふさわしいアグレッシブな曲。一歩も譲らないと言う気概に満ちている。その一方でギターの重ねにも味がある。
13.「Fi'mbulvintr」
 ラストはミドルテンポで自信たっぷりに進む勇壮なインスト曲。

Mithotyn Mithotyn連呼するのもどうかと思うけど、取り敢えず Mithotyn が好きだった人は絶対に聴いて損無しだな。今後の活動にも期待!

「The Last Journey」
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「New World Shadows」 2011
フィンランドのメロデスバンド Omnium Gatherum の5thアルバム。
2nd以外は全部聴いているのだが、毎度時流に乗らない独自の路線をキープした高クオリティの作品を発表しており、なかなか好きなバンドだ。今回はこのバンドの持つメランコリックな面が強調された作風と見え、1stの雰囲気を窺わせる叙情性は原点回帰とも言えようか。アルバム構成上の山と谷も今までになくハッキリしており、全体的な「聴かせる演出」が光る。

1.「Everfields」 Good!
 のっけから9分の大曲を持ってきている。ゆったりとしたテンポながら、味わい深い展開と心地良い叙情でしっかり聴かせる手腕はさすがのものだ。終盤では珍しくブラストビートを披露する。
2.「Ego」 Very Good!!
 名曲。単純なクサさなどに頼らない知的な質感。それでいて嫌味無く聴き手の情感に訴えかける上質の哀愁。このバンドにしか作る事が出来ない珠玉の疾走チューン。
3.「New World Shadows」
 タイトルトラック。エレクトロニカルなキーボードと流麗なギターワークが随所で光る。クリーンヴォイスを導入したクライマックスの展開も美しい。
4.「Soul Journeys」
 この曲などを聴くと、今作ではこれまで以上に音の響きに拘りを見せているのがわかる。塊ではなく立体的な音のギミックを堪能しよう。
5.「Nova Flame」
 ここで再び疾走曲が登場。ノれる序盤と一気に情感溢れるサビのコントラストがドラマティックだ。無駄に引き延ばさずあっさり終わる。
6.「An Infinite Mind」
 序盤のヴォーカルの憂鬱な歌い回しは「良い仕事」。サビでもあえて盛り上がりを抑えるのがまたニクイ。中盤の歌い方が面白い。
7.「Watcher of the Skies」
 インスト曲。力強くも悲哀を感じさせるメロディライン。単なる箸休めで終わらない。
8.「The Distance」 Good!
 前2曲を前フリにしてこそこの曲が引き立つ。サビの盛り上がりはまさに待ってましたと言うべきもの。絡め手っぽいメインリフもおいしい。
9.「Deep Cold」
 シメも9分の大曲。アルバム構成にも様式美がありますな。ヘヴィパートと叙情パートの色合いがハッキリしている序盤、哀感漂うクリーンヴォイスが印象的な中盤、そして感動的とも言える珠玉のクライマックスと聴き所満載。

メジャーな人気を得るのとはまたちょっと違った立ち位置にいるために、イマイチ実力に評価が伴っていないのがもどかしいが、それがこのバンドの良い所でもある。まあともかくこれからも時代に流されず我が道を邁進して欲しいと思う。お勧めです。

「Ego」