
「...The Abyss Will Also Gaze Into Thee」 2009
97年から活動する日本のシンフォニックブラックメタルバンド Ethereal Sin のアルバム。
これまでDemoやEPの発表は複数あったが、フルアルバムはこれが一枚目。
ブラックメタル的な邪悪で禍々しい雰囲気はほとんど無く、キーボードをたっぷりと使ってシアトリカルなクサさを演出する非常にメロディアスなサウンド。メロデスと言っても良い。
楽曲はスラッシュビートやブラストを多く用いたアグレッシブで激しいものが中心だが、音質の整理があまりされていない事もあって、ごちゃごちゃした印象を受ける。演奏も粗めで、曲によってはかなり乱暴な展開も見られる。しかし勢いがあって良いと言う気もする。
また、ブラック声ではさして気にならないが、ヴォーカルの普通声における英語発音の難や、コーラスのショボさと言ったところに(女性コーラスの方はそれなりに様になってます)国産バンド所以の弱さが見受けられる。とは言えメロディ面の馴染みの良さはやはりピカイチで、扇情度も高い。
先にも書いたが音質は整理が甘いので、楽曲の輪郭をぼやけさせ、メリハリを損なう結果に。ただまぁこれはこれでアングラの質感付与と威勢の良さの表れとも受け取れるので、私は一概に悪いとは思わない。ギターの90年代臭い音作りなどは結構好みだ。音量が小さめなのが残念だが。
自主制作に毛が生えた程度のプロダクションは好みが分かれるところだが、日本人だからこそ作る事が出来るクサメロの洪水と、時折見せる90年代風味はおいしい。機会があれば手に取って見ても良いだろう。
Pickup Tracks !!
8.「Spirits of Samurai」
曲名もいかす激走ナンバー。どことなく和を感じさせるキーボードの旋律に、所々ツンケンするギターは切っ先の競り合いのよう。ヘタクソなコーラスがこっ恥ずかしいが、それはまぁ良いです。
10.「War Remembrance」 (Bonus Track)
ボーナストラックだが一番耳が反応した曲。セルフレコード並の(いや、恐らくそうなのだろう)音質は本編よりもアングラ臭さを強くしており、ごたごたしているがそれが良い。キーボードの音量を抑えているのも正解だ。昔のV系みたいなギターに思わず青春してしまう。
「Spirits of Samurai」



