【外信コラム】赤の広場で お客さまは… | 彼女のマスターキー(レビューサイト)

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 名刺を注文しようとモスクワ市内の印刷屋に向かった。まず1軒目。受付の女が「マネジャーと面会の予約を取ったのか」と詰問し、「マネジャーが食事中だから電話で面会予約を取ってから出直せ」と言う。

 頭に来て向かった2軒目では受付の行列(人の群れ)で30分近く待ったものの、接客をする従業員が1人しかおらず、らちがあかない。で、3軒目。従業員は「こうした名刺は作れる」と話すのだが、やはり「マネジャーがいないから受け付けられない。明日、来てくれ」である。

 ここでいう「マネジャー」は接客責任者くらいの意味だが、街の小さな印刷屋ですら、マネジャーなる者がいないと名刺の注文も金の支払いもできないのだ。驚くべき「分業体制」というほかない。

 結局、1軒目のマネジャー女史に面会予約を取って発注したところ、金を渡してから釣りと領収書が出てくるまでに20分。後日、メールで送られてきた名刺の原稿では電話とファクスの番号が見事に間違っていた。メールには表題もあいさつ文もなく、原稿が添付されていただけである。

 ソ連崩壊から20年という時間を長いと見るか短いと見るか-。考え方はいろいろだろうが、ロシア人に「客」という観念が浸透するにはまだ相当に時間がかかりそうだ。(遠藤良介)


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