トースターの中のパンがうっすらと茶色に色づく頃を見計らって、
洗面台の蛇口をひねり最後の水滴の音を聞きながら
階段の2段目に置いてあるカバンを手にとる。
絞りたての牛乳が入った厚めのガラス瓶と、
昨日の夜、つくったばかりの甘い香りのマーマレード。
水色のチェックのテーブルクロス。
ちょっとばかりの静けさのあとの、いつもの忙しい朝をくぐって、扉を開く。
でも、その先の景色はいつもとちょっと違う香りがした。
車のドアを開けると、
おはようってその小さな空間がかたりかけ、
ぼくはハンドルにひっぱられて、
さわやかな風が頬をなでる。
また、一緒に走ろうっていってくれた。
それが何よりうれしかった。
そして、また次もあるのかってわくわくしてきた。
ちょっとした夢の中。
『またねっ』て言葉がいつまでも僕の中で踊っているその時間がとても好きだった。