今の子供はどう育つのか知らない。ただ自分が子供の頃は、ネッシーだの心霊写真だの本当にあった怖い話だのが大ブームで、鬼太郎も第3期、静子ちゃんが出てくるあたりのを見ていたような。近年のホラー映画ブームを下支えしているのも、この世代なんじゃなかろうか。物心が付くと、ありきたりな反動、科学合理主義気取りに変化したが、無意味な知識は澱のごとく沈んで、京極夏彦登場までまるで忘れていた。そして再び、この映画にえらく、思い出したくもない童心を喚起させられる事に。
結論を言うなら、特撮映画の断末魔って感じ。展開も古い!『ありきたり』という単語が終盤、何度も頭に浮かんだが、そのモデルが思い出せない。せいぜい「さくや妖怪伝」とか?この辺も、澱の一部なんだろう。

序盤はもう待ちきれないわ、お腹はち切れちゃう状態で心躍らせ、浮かれていた。目目連だの一本だたらだのお歯黒だのいちいち先読みで名前を挙げていたが、途中から面倒に。とんでもないスケールで本当に数百か千の単位で妖怪だされちゃ、流石に追いつけない。
この映画は「質」より「量」の映画。日本版子供向けロードオブザリングみたいな。キャストも凄く、有名どころだけでも並べるのが面倒なほど。10人や20人を、いちいち妖怪と照合してくのもやってらんない。神木隆之介に雨上がり宮迫、忌野清志郎に栗山千明、阿部サダヲにナイナイ岡村、豊川悦司に菅原文太、など。宮部みゆきが小学校教師、京極夏彦が山伏みたいな妖怪、とどめにゃ水木しげるがいらん説教をする。

この映画の視点は、古臭い特撮映画にありがちな、幼稚で残酷な展開に、PTA対策の教条的テーマを加えた物語を、現代的なニヒリズムを加味し、再構築している事。吉川英冶の神州天馬侠を馬鹿映画にした感じ。ご都合主義と荒唐無稽の爽快感に、無駄に教養を叩き込み過剰に文語を駆使したレトリック構造をかぶせたみたいな。もうね、ネタバレになるけど、最後は大風呂敷を纏めず、大暴投。さくや妖怪伝の悪夢再び。死ぬほど笑ったけど、あまりに毒々しい肩透かしに、今までの大作感が台無し。

「妖怪を知らない」「キャストを知らない」「大人の価値観を持つ」人間が、この映画をどう楽しむか。男性は川姫の太ももや、栗山千明のケツや裸の背中、女性は主役の美少年の着替えシーンにハァハァして下さい。別にどうってことないシーンを、エロく撮ってごまかしてる感じ。あざとい。B級ホラーか三流ヤクザ映画みたい。あと子供向けアニメや漫画に昔よくあった「エロ規制の脱法措置」によく似ている。

なんとも不思議な映画。哲学を貫きラジー賞にノミネートされるタイプ。自分は面白かった。なんだカンダで、日本映画とは思えないスケールの映像だったし。ただ次こういう映画が作られるには、数年間の充電期間が必要だろうと思う。終わり。