昨年の興行成績国内第4位(1:ハウル・2:宇宙戦争・3・スターウォーズ)だっけ、大ヒット作品が早くもDVDで登場したので、早速鑑賞。ティム・バートンとジョニー・デップとのコンビ作品は「エド・ウッド」と新作「コープス・ブライド」以外は見てる筈。人工的な色彩感覚や幾何学的な構造物を各所に配置する一方で、中世ヨーロッパ式の建築物、それに雪と夜の青を加えた美術構成は、彼らの作品ではシザーハンズに最も近いか。

キーワードは「子供」かな?一般教養の話だが、狼に育てられた少女「アマラとカマラ」ってのがいて、彼らがもたらした人間性概念の革命以前の世界観「人間は生まれながらに人間」ってのを思い出す。それ以後の世界で人間性概念の実証対象として持ち出されるのが「子供」なんだっけ。彼らを「白紙」の存在と捕らえるか、アリストテレス的な科学観、「ある」ものを発見すると捕らえるか、不勉強なんで議論は出来ん。
理由は兎も角子供には「無限の可能性」があると捕らえ、その航海図が「夢」だとするなら、それを失った子供というのは、啓蒙主義に毒されブルジョワジー生産構造に組み入れられた、人間の失敗作、可能性を見失った人形とも呼べるわけで、1つの革命を前にして、彼らがどう立ち振る舞うか、それが「チャーリーとチョコレート工場」のメインテーマな訳ですよ。無理矢理。
仏教の三毒だの七つの大罪だのと絡めようと思ったが、ジョニー演じるウィリー・ウォンカが裁く側としてはヒネクレ過ぎなので挫折。

物語は真面目なチャーリーと強欲なガキ4人が工場主ウィリーウォンカに「無人工場(ルンパは除く)」を案内して貰う話。セットがやたら豪華豪華。チョコの川やアメの木が本物だったり、リスを実際調教してたり。このリスの話で思い出すのは最近の映画「コンスタンティン」、劇中放牧されている牛達がぞくぞくと倒れるシーン、実際に吹き矢で再現したらしい。CGを知るものはCG映像をマテリアルで作るのです。ズルイよなぁ…
構成は単調。一人脱落するたびに、ウンパ・ルンパ(同じ顔の小人)がそれぞれ違った曲調、嫌みったらしい歌詞で派手なミュージカルを行い、はい次へ。ドラマはほぼ無いが、テンポのよさは一級品。映像の独創性(2001年宇宙の旅のパロディがあるけど)と相まって、展開への期待感は尽きることが無い。
ジョニー・デップが怪演する姿にデジャブを感じる。こいつ、名作「アマデウス」のモーツァルトそのまんまやんけ。父親との関係も、微妙に似ている。作品自体が形而上学的なテーマ性を持たず、言葉遊びならぬ映像遊びに終始している娯楽作品なので、かの名作と比べるとジョニーは神々しさや迫力に欠けるか。

だがこの作品の成功が、今後の映画界の一つの指標になりそうな予感。「アクション」だの「サスペンス」だのジャンルを越えた映像作品の潮流が、商業的なバックアップを得られやすくなるんじゃないか。そもそもアニメの原点にジャポニズムをもってくる話は何度と無く聞いたことがあるわけで、日本のポップアートなんかへの「楽しめる読み方」が世界標準になってしまうかも、とか。なんだかカオスな感じで終わり。作品自体の個人的感想がまだか。「面白い。見るべき」それだけ、終わり。