好み直撃、通常の3倍で筆が進みそうな内容だが、とんでもねぇ難易度にすでに臆する。恋愛・雑然・リアル、この3要素が同居するだけで複雑なのに、時間軸や夢・現実の錯誤まで仕込んだ脚本で、正直何がなにやらようわからん。「すごい映画」だが娯楽からは程遠い。個人的にはこの映画、愛を描く為のテクニックというより、テクニックありきで愛を方法論にしてる感じ。

キャストも面白い。いわずと知れたジム・キャリーがシリアスな駄目人間を好演し、タイタニックの勘違いヒロイン、出産時に激太りしたケイト・ウィンスレットがアバズレ役を、脇役でも助手役にキルティ・ダストン(スパイダーマンのブス)や陰険オタクをイライジャ・ウッド(ロード・オブ・ザ・リングのチビ)が演じている。
このジム・キャリーが曲者。導入部の段階では「マスク」だの「2人の男と1人の女」なんかの印象が強く、女性から彼に話が振られるたび、こちらは反射的に下ネタ相槌を予測してしまう。「わからないよ」とか爽やかに返されても…ベッドシーンでも下ネタは無し。こちらの頭の中では、昔のジムキャリーが暴れまわってるというのに。まあ後半は話を追う事に必死で、そんなヒマは無かったが。ハエみたいな動きは健在。あとは話の佳境でオナヌーシーン。なんだか安心した。

どこかのサイトで「粗筋は邪魔」と書いてあったので書かない。実は一番大変なので省ければ楽。ただそれが必要な類の映画だとは思うので、簡単に。

平凡な男・ジョエル(ジム・キャリー)と美しく奔放な女性・クレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)は孤独な者同士惹かれあい、少しづつ愛を育んでいた。しかし擦れ違いを重ねるうちに、彼らに別れが訪れる。平凡な離別の一つ。だが彼女は苦しみから「ラクーナ社」に依頼しジョエルの記憶を消去させてしまい、それを知り傷ついたジョエルも、同じ依頼を持ち込む事に。「明日の朝には生まれ変わる」だが眠る彼の脳に住む「クレメンタインを愛するジョエル」が、記憶の消去に必死の抵抗を見せる。たった一晩、しかし最後の戦いを「彼」は如何に切り抜けるのか…

夢の世界の構成が複雑怪奇。車に乗れば元の場所、クレメンタインはあちらこちらに現れては消え、幾つもの過去の自分達はいつも憂鬱な顔を向けている。時にはビデオ屋から家へ、町から部屋へ、子供の頃の世界ではまるで小人。ライトが明滅し、人の顔はゆがむ。確かなのはクレメンタインの姿だけだ。
夢の中の彼女は「彼が愛した彼女」という解釈。互いに理解し、思い合い、同じ夢を見たからこそ、最後の奇跡が生まれるんだろう。
心理描写は類型的。ただ「モントロークで」にはグッときた。キャラクターが皆裏表あるのも良い。だが(こんな表現使いたくないが)もっと切なく、美しい物語に出来たと思う。それが上記の「愛は方法論」と思わせる理由。良いモノ持ってるのにニヒリズムで台無しって感じ。もっとムードを受け止めろ。

類型化するなら「メメント」や「バニラ・スカイ」系なのか。「アレックス」はエログロだしな…複雑だが見るべき映画。なにせ某紙映画評論家が選んだ2005年ベスト10第8位の映画だし。ミリオンダラーベイビーが1位でオペラ座の怪人が12位のランキングなので一般受けはしないだろうが、これほど映画らしい映画も珍しいので、必見作品には自分基準で選出。もっと音楽演出活用してくれりゃ、もう少し浸れたんだけど、やや地味な終わり。今日はこれで終わり。