昨年読んだ漫画の中でも「逆境ナイン」は5指に入る、否、あえて入れてゆくべき名作として記憶していたが、これが映画化なら観ざるをえぬわ!と嘯いたあげく結局リアルにDVDで本日鑑賞。やっぱり原作を読んだ側としては設定の相違点にケチをつけ、己のイメージとの乖離を嘆くのが筋ってものでしょう。規定路線を外れることなく、感想を。

粗筋は熱すぎて伝えられないが、一応説明すると、廃部直前の弱小野球部が気合で甲子園を目指す話。だがこの筋の作品なら星の数ほど溢れてるが、この作品の本質はもっと別の場所にある。やたらスケールがデカく、男の哲学が異常な熱気と迫力を持って語られるのだ(まあ正直ギャグマンガなんだが…)。
原作の著者、島本和彦は仲間に「アンタに書かせると勢いだけの駄目漫画になる」といわれたらしいが、なるほど大いに結構、自分も「RAY」だの「蟲師」だの冷たいより遥かに勢いだけの漫画を好む。「いいなあ、おれも馬鹿になりたい!」もう十分か。以下粗筋に代えて名言集を。映画の中でも語られます。

「この宇宙のどこかでは今も星の存亡を賭けた戦争が繰り広げられてるに違いない…それに比べればたかが野球!なあ、宇宙よ!」
「男の3つの条件がおれたちに無茶をさせている…ひとつ、男はイザという時にはやらなければならない…ふたつ、今がイザという時である…そしてみっつ、おれたちは男なんだ!」
「たしかに無理だ…だが無理が通れば、道理は引っ込む!」

映画も原作に「ある程度」忠実。恋愛対象がマネージャーとなり展開がヌルく、サカキバラがギャグキャラとなり実も蓋も無く、王や長島のパロディキャラが消えるのは大人の事情、さかさまにすれば情事、関係ないけど、あと「2001年宇宙の旅」のパロディが挿入されるがパーフェクトにウザイなど、かなりの「改悪」点が見受けられる。しかし原作の名シーンは抑えていて、それが特撮とCGでの惜しみない過剰演出で描かれると、内容の良さもあって正に天晴れという感じ。やたら「逆境」に見舞われる起伏あり過ぎる展開も映画向き。後半になると方向性の一本調子に飽きてくるが、これも原作と同じ。

以前漫☆画太郎の「地獄甲子園」を原作・映画両方(関節技かけられた様な苦痛映画)で体験した身としては、よく纏めているし、エンターテイメントとしてもかなり成功していて、バカ映画の中ではかなりの良作に入るんじゃないだろうか。だけどサカキバラは阿部寛が最低基準、これは譲らない。終わり。