先日、またかみさんと息子、そしてかみさんの母上様(=義母)、その飼い犬とともに、遍路旅に出てきました。
今回の目的。
①わたしの本厄・厄除祈願。
②遍路@松山あたり。
ということでした。
①の厄除祈願は、今治市菊間の「遍照院」さんで祈願してきました。
その模様はまた後日、です。
今回は②の中の、53番札所・円明寺の奥の院に参拝したときのお話をアップします。
これが円明寺奥の院の全容です。
実は、ここにたどり着くのに、ある一人の女性の方に助けて頂きました。
我々が、この奥の院を目指すため、ランドマークにしてたのが「愛媛県運転免許センター」だったのですが、さすがに免許センターに駐車して、"しれっと"遍路に出るのは気が気でなかったので、もう1つのランドマークとして、奥の院近くにある、と思われた、「勝岡八幡神社」に車を"しれっと"止めて徒歩で向かおうと思っていたのです。
徒歩で向かおうとしていた所へ、1台の車が。乗ってたのは地元の人と思わしき女性。
我々の横に止まり、ひとこと。
「奥の院に行くん?」
我々「ええ。徒歩で向かおうと。」
「それやったらなぁ、えーっと、ちょっと待ってて」
車から降り、奥の院までの道を地べたに描き始めました。
その様子がこれ。映ってるのはその女性。
しかも筆記用具は車のキーの先。
変形してしもうたらどうしようか。
「いや、わぁしが案内するわい、車で後からついてきんさい、わぁしも最近行ってないけぇ、行ってみようわい」
「え゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
なんという展開!!
なんということか。あぁ。うちらのためにここまで頑張って下さるなんて。
あぁ、頭の下がる思い。
程なくして女性の運転する車(ア○ト)は神社の鳥居を潜り、出発。
でもすぐに、神社近くの道の前で停車。
その近くで停車していたら、車から降り、こっちに向かって言う。
「うちの伊予柑持ってくるけん、ちょっとまっとき」
なるほど、家の前に止まって、自分の家から伊予柑を持って来・・・
おいおいおいおいおいおいおいおい!!
まさかここで「お接待」????
そんなサプライズ、期待してないんですけど、わしら・・・。
2-3分後、スーパーの買い物袋いっぱいに詰まった伊予柑を差し出す女性。
おそらく、自分の畑で収穫されたものだろう。
こちらも慌てるそぶりを見せないように、さりげなく(颯爽と、スマートな振りで)停車中に待っている間に慌てて用意した納め札をお渡しし、「できるお遍路さん」をアピールしようとしたら、その女性から、
「お礼(れい)で納め札もろぉても、それをお寺さん(=札所)へ納めに行かんといけんじゃろぉ、うちらぁお寺さんへお参りすることはありゃあせんけぇ、納め札もろぉてもどうしようもできんのんじゃあ」
とのご返答、これもスマート。いや、こっちのほうがスマート。
八幡神社から車で3-4分。細い路地を抜け、小高い所に建つ奥の院に到着。女性いわく、奥の院を訪れる人は本当に少ないらしいです。
確かに、ローソクもあまり立ってませんでした。
奥の院の近くまで車で来れます。奥の院の近くにも空き地があり、駐車もできますが、車幅のある車はやめたほうがいいでしょう。たとえばRV車とか、札所でよく見かけるプ○ウスとか。私の車(シエンタ)でギリギリでした。
こんな道です。車幅ギリギリ。
先ほどの女性のガイドで、奥の院まで案内を。
お堂に着くと、閉めてあった扉を自力で「ガラガラー」。開けてお堂の中も見せてくださいました。
よく見ると、この奥の院、鍵がかかってるようで、実はかかってない建物。
何でも、奥の院の近くに住んでいる、この女性の姉妹の方がほぼ毎日、お堂の掃除をしてくださってるんだとか。
で、この奥の院は「通夜堂」にもなるんだそうです。知らんかった(当たり前だって)。
この後、私達のお勤め(開経愒~回向文)の間も、ずっと手を合わせ、ご本尊様に向かってじっと目を据えてらっしゃいました。
私達のお勤めが終了したら、何事も無かったように、「ガラガラー」とお堂の扉を閉めて、鍵もかけず(っていうか鍵が無い)、車まで戻る。
円明寺までの道を教えていた戴いた後、先に車で発ち、私達とはお別れ。
・・・しばし考えた。
人のために、慈善の心を持てるだろうか。
それも見返りを求めずに。
うまく言葉で伝えることができないのがなんとも歯痒い。
でもこれが「お接待」なんだろうなぁ。
*でも、納め札渡しの仕事は、同性で、気心がお互い知れるであろう、かみさんの義母さまにお願いしたのが事実です。情けな。