毎年、卒団式に新チームのキャプテンが自分達で決めた「今年の目標」を発表するというのが我がチームの伝統だ。
いつからそうなったかは定かではないが、子供たちが口にするその目標は毎年「全国制覇」なのだ。
その目標を決める前に僕は必ずこう言っている。「チーム関係者全員の前で口にした目標は絶対だ。男に二言はないからな!そのつもりで話し合えよ」そして「分かっているだろうが、俺は絶対に妥協はしない。高い目標を口にするならその覚悟を持って言え」と。
にもかかわらず、必ず「全国制覇!」と、うちのチビたちは口にする。
どう考えても「あ~ぁ、言っちゃった・・・」「知らね~ぞ~!」というチーム事情なのに。
そして案の定、毎年その言葉が自分達を追いこむのだ。
「ダメなプレイはできない」、「無様な試合はできない」、「絶対に負けられない」
それはそうだ。だって「全国制覇」を目指しているのだから。
毎年感じることだが、子供たちの敵は相手ではなく自分、そう自分達が掲げた大きな目標というプレッシャーとの戦いなのだ。
そのプレッシャーをどう克服するか?僕は毎年その問題と闘って来た気がする。
高い目標に拘れば拘るほど、強くなればなるほど「負けられない」プレッシャーは強くなるからだ。
今まで僕は子供たちを敢えて追い込むことでプレッシャーに慣れさせるという方針を取って来た。
平常心よりも闘争心、結果はともかく、真っ向勝負して来い!絶対に逃げるな!という指導である。
それは僕自身が好戦的な性格で、常に「かかって来い!」という気持ちでいるからなのだが、年々それについて来れない子供たちが増えてきたと僕は感じていた。
去年もそれに悩み、結局克服できないまま、絶対に負けられない大切な試合を迎えてしまった。
もちろん試合に勝つことがミニバスの目的ではないから、あのプレッシャーを乗り越えられなかった悔しい経験もこれからの糧になると思っているのだが、もっと自分らしく戦わせてやられなかったのか?という思いや後悔が今も頭を離れることはない。
去年は押しても(追い込んでも)ダメだから、引いてみた(追い込まずに褒める)こともあった。しかし緊張は克服できない上に気持ちまで緩んでしまって却って最悪になった気がして、結局いつも通りに戻したという経験があった。
今回、二週に渡って市大会と県大会が行われたのだが、いつも通りに臨んだ市大会の一回戦で、プレッシャーでガタガタになり最悪の試合をしてしまった後、僕は予てから考えていた新たな方法でメンタル面のケアをやってみた。
それは追い込むでもない、優しくするでもない方法。
それが、その後の子供たちの戦いに大きな変化を起こすこととなった。
つづく