「無理だ」
今日という今日は許せない。あの男。そう、仁王雅治!コート上の詐欺師(ペテン師)という異名を持つほど人を騙すことにおいては長けている。
彼は今まで、私になりすましいろんなことをやらかしてきた。ある時は、かつらを被っている先生のかつらを奪って逃げたり、私と同じクラスの真田くんの帽子を猫耳にすり替えて、そのまま部活に行かせて恥をかかせたこともあった。
そんな彼を今までは許していた。なぜなら私は彼に恋をしていたから、そんな彼までいとおしく思えていた。
しかし、今日は許せない。彼は私になりすまし、彼と同じクラスの丸井くんに告白して付き合うことになってしまった。仮にも私と仁王くんは付き合っているのだ。なのに…
「丸井くん…」
彼にも悪いことをしてしまった。仁王くんが私になりすまして告白してしまったとはいえ、私が彼をフれば、傷付くだろう。
「呼んだかよぃ?」
「ま、丸井くんっ!?」
気付いたら背後に丸井くんが立っていた。
「そーんなに驚かなくてもいいだろぃ?」
と言って、私の肩にパンチをかましてきた。
「すみません!考え事をしていたもので…」
「いいぜぃ!べつに!つか打ち合いしようぜぃ!」
「あ、はい」
丸井くんの態度がいつも通りなので安心した私は丸井くんと打ち合いをした。仁王くんに若干の疑いを持ちながら…
「おい、柳生」
練習が終わり、着替えていると仁王くんが話しかけてきた。そして、それを遮るように丸井くんが話しかけてきた。
「なぁ、柳生!今日一緒に帰ろうぜぃ!」
「あ、ええ。いいですよ」
「よっしゃあ!」
「あれ?今日は柳生は丸井と帰るのかい?珍しいね」
そこに幸村くんが加わる。確かに、今まで丸井くんと関わること自体少なかったので、珍しい。やはり、付き合っているというのは本当なのか…
「ええ、丸井くんがゴルフに興味があるらしくて…」
「へぇ、意外だな。僕も一緒に帰っていいかい?」
「幸村くんも!?んー」
助けを求めるように丸井くんがこちらを見てくる。
「実は、この後にゴルフのクラブを選ぼうかと思っているんですよ。それだと帰り遅くなりますし、また明日はどうでしょう?」
「ふーん。いいよ、じゃあ明日楽しみにしておくよ」
「すみません…」
「いいよ。真田ー、帰るぞー」
そう言うと幸村くんはその場を去って行った。そこで仁王くんがいなくなっていることに気付いた。
「おい、柳生~帰ろうぜぃ」
「あ、はい」
仁王くん、先ほどとても悲しげな顔をしていましたが…とりあえず、反省して謝ってくるまで待つことにした。
「柳生!ここ寄って行こうぜぃ」
「え!?クラブを買いに行きましょう。これでは幸村くんに嘘をついたことになりすまし」
「えー?真面目だな、柳生は~」
「いいでしょう?」
「てっきり、嘘ついて終わりかと思ってただろぃ」
「すみません。仁王くんではないので出来ないんですよ」
仁王くんが幸村くん相手にも平然と嘘をついている姿が頭に浮かぶ。おかしくて頬が緩んでしまう。
「そういえば、今日は仁王と一緒にいなかったよな?」
「はい。仁王くんは察しがよいので…」
「なるほど~さすが仁王だろぃ」
そう言って丸井くんは笑う。私と丸井くんは会話をしたことがないし、共通の話題も特にない。そこからはあまり会話をせずにひたすら歩いた。
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ふぅ、続きます。
はい、すみませんm(_ _)m
ありがとうございました!