前回はBEV本体について経済的優位性が破綻と書きました。今回はV2H装置について考察したところ、これに拍車をかける結果になりました。BEV同様、V2H機器についても発展途上の製品と捉えるのが無難です。したがって、当面は最新の商品が最良の商品になると思われます。

 

(出典:ひだかや株式会社)

 

 V2Hで検索すると、これのいいところだけが強調され、あたかも電気代がガッツリ節約できるようなサイトが前面に出てきます。ところがこれに「非効率」とか「効率悪い」という単語を追加すると、全く異なる側面があぶり出されます。そう、検索文字通りこの装置はエネルギー効率が極めて悪いのです。太陽光発電との組み合わせが前提ですので、その条件で考えますが、発電した電力の6割程度しか使えず、残り4割はロスとして消えてしまいます。理由については詳しいサイトを見ていただくとして、単純にエネルギー効率だけを考えたなら、V2Hなどない方が絶対にいいです。

 

 エネルギー効率は最悪とも言えるV2H装置ですが、電気代に換算して考えるとどうでしょうか。その世帯でのEVや電気の使用方法によって大きく変わりますが、うまく運用できればエネルギー効率の悪さを補って現状より安くすることは可能なようです。逆に運用をミスると現状より高くなる可能性もあり、使い方にはコツがあるようです。V2H装置は高価であり、初期投資まで含めて考えると償却できるかは微妙なラインです。拙宅のように卒FITになっていると、その可能性はかなり高くなります。

 

 以上のように経済性で考えると、BEV+V2Hを一から揃えるのは明らかに時期尚早でしょう。いや、おそらく私の生きている間はこの組み合わせの経済性優位性はないと思っています。したがって、災害時の電力備蓄とBEVのある生活の魅力にいくら支払うかということになりそうです。

 

(出典:NHK)

 

 さらに経済的な観点から災害時の電力備蓄について考えてみます。災害と一口に言っても、自宅が崩壊や流出といったレベルになると、個人宅での備蓄など何の意味も為さないため、自宅は無事だがインフラが損害を受けたというレベルの話です。この場合、状況にもよりますが、インフラが復旧するまでは自宅から離脱して、被害のない地域でホテル暮らしをするという方法が考えられます。私の場合、既に半分リタイヤしているので、仕事の心配は無用なのが大きいです。宿泊や食事などで1日5万円かかったとしても、10日で50万円です。この金額だけをみると大金ですが、BEV+V2Hの設備費は数百万円ですから、かなり安くつくことがわかります。つまり、現状維持をしてお金を「備蓄」するというのが、災害時でも合理的なのかもしれません(ちょっと極端かもしれませんが)。

 

 そうすると最後に残るのはBEV+V2Hのある暮らしの楽しみ、要は自己満足です。これにそれだけのお金を使うかということになってしまい、それならもう少し製品が成熟してからでもいいかな?というのが最終結論になりそうです。それにしても、拙宅のようにかなり好条件が揃っている場合でも、残るのが「自己満足」だけとは、一般への普及は棘の道ですね。