【8/1追記】

ヴェルビエ音楽祭のアーカイブです。
3ヶ月間無料公開されます。
2019年7月30日マーク・ブシュコフ&ドミトリー・マスレーエフデュオ

2019年7月31日ドミトリー・マスレーエフリサイタル

マスレーエフのヴェルビエ音楽祭デビューは2019年チャイコフスキー国際コンクールヴァイオリン部門2位のマーク・ブシュコフとの共演でした。
端的に言うと、それは対等なデュオだったと言えるかと思います。
音量を出せるブシュコフの音に負けず、しかしどちらかが出過ぎる事も無く、非常にバランスの取れた演奏でした。
曲毎に大きく変わる空気、最後のショスタコーヴィッチのヴァイオリンとピアノのためのソナタでは互いの表情は厳しさを増し、聴衆にもその見事な緊張感が伝わったかと存じます。
また、マスレーエフはこの日ショスタコーヴィッチの物と良く似た眼鏡をかけ、よりその世界に深く入っていたようにも感じました。
アンコールはその高まった緊張感を和らげるようにとメンデルスゾーンの無言歌よりop.62-1が演奏されました。

翌日のリサイタルでもロマン派と20世紀の曲が演奏されました。
コンクール直後から演奏会レパートリーに入れ再演が望まれていたメトネルは一層細やかな表現で再登場しました。冗長になりやすい単一楽章のソナタですがマスレーエフは提示、展開、再現、コーダを見事に表現しました。
2015年のコンクール時からマスレーエフは曲間で立ち上がる、あるいは袖に行く事をせずプログラムに込めた物語を長い息遣いで演奏します。客席もその間を感じ取り拍手は最後に激しく行われました。
後半のショパン、フィルチュ、ショパンという流れにはフィルチュのショパンに対する尊敬、憧れ、愛、そして若いフィルチュが抱く野望が表現されました。
プログラム最後のリストのスペイン狂詩曲は音楽祭という華やかな場に相応しく、またマスレーエフのヴィルトゥオーゾをより感じる事が出来たのではと思います。
アンコールはバッハ=ケンプ シチリアーノ、ガーシュウィン三つの前奏曲より第1曲、第2曲が演奏されました。
会場には作曲家のロジオン・シェドリン氏が来ており演奏会後にマスレーエフを賞賛したとの事です。作曲家が着目したという事は同時にマスレーエフの作品の魅力を引き出す能力を強く感じたと言えるのではないでしょうか。




【8/1追記ここまで】

2019年7月30日と31日、ヴェルビエ音楽祭からドミトリー・マスレーエフ(Dmitry Masleev) の演奏会がメディチTVで配信されます。

7/30 日本時間18時(現地時間11時)より
マーク・ブシュコフ&ドミトリー・マスレーエフデュオコンサート

プログラム
シューベルト ヴァイオリンとピアノのためのソナタA Major  D. 574 "Grand Duo"

ブラームス  ヴァイオリンとピアノのためのソナタA Major Op. 100

ショスタコーヴィッチ ヴァイオリンとピアノのためのソナタ G Major, Op. 134

ヴァイオリン: マーク・ブシュコフ(Marc Bouchkov)
ピアノ: ドミトリー・マスレーエフ(Dmitry Masleev) 



7/31 日本時間18時(現地時間11時)より
ドミトリー・マスレーエフ リサイタル

プログラム
ミャスコフスキー ピアノソナタ第2番
メトネル ソナタ回想
プロコフィエフ ピアノソナタ第1番
(サブムーブメント)
Allegro - Meno mosso - Piu mosso - Meno mosso

ショパン ノクターンop.9-1
フィルチュ 即興曲
ショパン ノクターン遺作
リスト スペイン狂詩曲


視聴はいずれもメディチTVトップページから可能です。