その匂いを嗅いだ瞬間カラスは、お腹が空いていたのもあり

お腹の音が鳴るとともにヨダレが出た。

 

ズクは先ほどカラスが言った謝罪の言葉が聞こえていなかったのか

「あんれぇ、なにそこでうつむいてるん?ほれ、早くそこの椅子に座りぃ」

とカラスを椅子に座るよう促した。

カラスは言われるがまに椅子に座った。

 

ズクの手には鍋が掴まれており、机の上に置いてある鍋敷きの上に

鍋を置いた。

「取りあえずぅ昨日の残りもんだが、体も冷めてるようだしぃ これでも飲んでぇゆっくりしててねぇ。」

と言いズクは鍋の蓋を開けた。すると鍋の中にはこの森で採れたであろう「木の実のスープ」が入っていた。

「これはなぁ ここでよくとれる木の実を数種類じっくり煮詰めたスープでなぁ 体が温まりやすい効果があるんよぉ。」とズクは言い「今の君にはピッタリねぇ」と言いつつお玉で取り皿にスープをつぎ、スプーンとともにカラスの目の前に置いた。

 

カラスはそれを見て「これは前にあそこ(飲食店)で人が食べてた液状の食べ物…」と言いつつ唾を飲みスプーンを使わず 取り皿を持ち

そのまま勢いよくスープを口に含んだ。

 

「あんれぇまぁ、いい食べっぷりだこと、熱くねぇべか?」

とズクは言いつつカラスを見守った。

 

スープは程よく甘いのにも関わらずさっぱりしており、一口飲みこむたびに食道がポカポカと温かくなり体の芯から温まるような味だった。

それは今まで生ごみや、腐りかけの残飯を食べていたカラスにとって初めての体験・味だった。

あまりの美味しさにカラスは無意識に数滴涙を流したのち「ウマッ」

と言葉をこぼした。

 

それを見たズクはフフッと笑い「口にあってぇよかったわぁ。おかわりは自由によそってねぇ」といい再び台所に戻ると新しく料理を持ってきた。

「ほ ん れぇ!!これがメインの森オオネズミのステーキだよぉ。たーんとおたべぇ」

と言い大盛りのステーキの乗った皿しを机に置いた。

 

カラスはその食欲を直に刺激するような匂いと 見た目を見て

自然に手をステーキに伸ばし 掴むとすぐに口に運んだ。

てきたての熱さはあったものの 食欲のほうが勝り、口に入れ噛み締めた瞬間 甘みのある肉汁がジュワッ と溢れ口の中を満たした。

鋭い目つきのカラスも 思わず表情が緩み笑みをこぼすほどの美味しさであった。

その食べっぷりをしばらくズクは椅子に座り 幸せそうに見つめた。

 

全て食べ終わり 食後の余韻に浸っていたカラスは ズクにここに来るまでの経緯を詳しく説明した後「ここは一体どこなんだ?」と聞き始めた。

するとズクは「ここはねぇ『不思議の森』っていうんよぉ。」と話し始めた。