チャンピオンベルト・ワールド~ロード・オブ・ザ・ベルト パート2~ | 団塊Jrのプロレスファン列伝

チャンピオンベルト・ワールド~ロード・オブ・ザ・ベルト パート2~

探偵「さて、パート2はテーズ・ベルトの流れがわずかながら見えたNWAインターナショナル・ヘビー級選手権のベルトです」


先輩「ああ、このタイトルは1958年6月、これまでNWA世界ヘビー級王座の防衛戦を行ってきたルー・テーズの実績、貢献度が評価されて新設され、初代王者に認定されその歴史がスタートしたものだ」


探偵「はい。そしてテーズが王者になった2ヶ月後の同年8月、カリフォルニア州ロサンゼルスのオリンピック・オーディトリアムで力道山が挑戦。見事ルー・テーズを下し第2代王者となります。以降、日本の至宝として力道山から馬場さん、鶴田、ブロディから三冠ヘビー級へと歴史を刻んでいき、プロレスファンなら知らない人はいないと言っても過言ではないタイトルとなりました」


先輩「さて・・・パート1の冒頭で見たように、テーズ・ベルトとインターナショナル・ヘビー級のベルトは大変似ていたね。テーズ・ベルトの時間軸からこのベルトはひとつしかない可能性が一瞬は高まったけど、インターナショナル・ヘビー級のベルトに関してはどうだったのかな?」


探偵「とりあえず詳細から調べてみました。インターナショナル・ヘビー級、このタイトルが日本へ紹介されたとき・・・そのスタートはまさに「驚」でした」


先輩「やはりこのベルトには何かあるんだな~」


探偵「はい。このタイトルは58年8月、力道山がチャンピオンとなり帰国。敵地で、しかもあのテーズを破っての王座奪還劇だったこともあり大きな話題となりました。しかし帰国した空港で力道山に発っせられた言葉は、テーズとの試合は本当にタイトルマッチだったのか?でした」


先輩「タイトルマッチじゃなかったのか?」


探偵「いえ、これは当時アメリカの通信社がこの試合をノンタイトル戦と伝えてしまったためのようです。しかしちゃんと選手権試合をし王者になった力道山は、もちろんタイトルマッチでテーズを破り、タイトルを手にしたと主張したようですよ」


先輩「そりゃ当然だよな。あのテーズを破っての王座奪還劇だもんね」


探偵「そうなんです。で本来ならここでベルトを出し揺るぎない証拠を見せるのが流れのはずですが・・・なんと力道山は、ベルトは別に送らせたので今はない。あとで公開する、と言ったんですよ」


先輩「べ、ベルトがなかったのか!?」


探偵「そうなんですよ。こんな波乱のスタートを切ったインターナショナルヘビー級の初代ベルトでしたが、その後無事にお披露目となりました」


チャンピオンベルト・ワールド~インターナショナル・ヘビー級~


先輩「でもなぜ帰国した力道山とベルトは別々だったんだ?」


探偵「インターナショナル・ヘビー級というタイトルは元々存在せず、力道山がタイトルもベルトも作った・・・かつてはそんなウワサもありました。しかしテーズの自伝から、テーズがこの王座に認定されタイトルを保持し防衛戦も行っていた、つまり力道山以前よりタイトルが存在していた事実がはっきりしています」


先輩「なるほど、確かに自伝には防衛戦の地区や相手の名前まであるな。4月にフォートワースでフリッツ・フォン・エリック、5月にヒューストンでペッパー・ゴメス、それにニック・ボックウインクル、ブルー・カリーに・・・あれ!?因縁のエドワード・カーペンティアまでやってるじゃないか」


探偵「まさにそうそうたるメンツですね。で、こうして58年8月、テーズと力道山はインターナショナル・ヘビー級選手権をかけ試合を行い力道山が勝利し王座を奪取しました。しかし力道山は王者となってインターナショナル・チャンピオンの称号のみを得、そのベルトはテーズの元に残し、ベルトを自身で別に作成した、どうやらこれが流れのようです」


先輩「こうしてやっとベルトにたどり着くんだな・・・で、これが力道山の最初インターナショナル・ヘビー級のベルトだね」


力道山のインターナショナル・ヘビー級のベルト


探偵「そうです。日本では最初に作られた初代のインターナショナル・ヘビー級のベルトということになりますが、実際にはテーズが保持していたのから数えると2代目のモデルにあたるベルトになります」


先輩「なるほど、初代であり2代目か。しかしこれはどうだろう?大きさこそちがえど、これはテーズ・ベルトに非常によく似ているよ。テーズのインターナショナル・ヘビーのベルトもまた似ていたのかな?」


探偵「そこなんですが、これがまた謎なんですよ。というのは、王者に認定の経緯から防衛戦の記録もあるにもかかわらず、テーズがインターナショナル・ヘビー級のベルトを手にしている写真や画像というのはこれまでに・・・」


先輩「ないのか!?またこの流れか・・・」


探偵「そうなんですよ。なのでこのベルトが何のベルトを参考にし作られたのかはわからないんです。テーズ・ベルトだったのか?それともインターナショナル・ヘビー級のベルトだったのかは見当がつかないんですよ」


先輩「もしこれがテーズの持っていたインターナショナル・ヘビー級のベルトを参考に作られたなら、もうひとつ似てるベルトがあったかもしれないってことでまたややっこしくなるなぁ」


探偵「どうなんでしょうか・・・このテーズのインターナショナル・ヘビー級のベルトこそまったく形状不明、おそらく誰も見たことないんで、なんとも・・・」


先輩「とりあえず、そこはまたの機会にして本題に戻ろう」


探偵「そうですね。本題に戻って、で、次に日本では2代目、テーズが保持していたのから数えると3代目のインターナショナル・ヘビー級のベルトです」


次のモデルとなったインターナショナル・ヘビー級。このベルトは63年12月、力道山死去と共に封印され一代限りのタイトルとなった


しかし72年に馬場さんの全日本プロレス旗揚げ時、このベルトが百田家から寄贈されPWFヘビー級王座として復活する


のち、我々も馴染みのこの形になる。名前はPWFだが実際のインターナショナル・ヘビー級のベルトの形の流れを組んでいるベルトだ


先輩「そうこいつも謎だらけなんだよなぁ・・・」


探偵「このインターナショナル・ヘビー級のベルトのことを調べると、最初の方は力道山により作成されたことがはっきりわかるんですが、この次のモデルに関しては作成されたという話と、WWA世界ヘビー級を流用したという話のどちらも出てくるんです。しかし・・・」


先輩「しかし、どちらも確たる証拠がないわけか」


探偵「そうなんです」


先輩「では目線を変えて、また年代と出来事を交え、これまでの調査データに仮説も交えてやってみよう」


探偵「はい」


先輩「まず力道山が作成した説だ。テーズ・ベルトはひとつ。1937年、旧NWAからWWAを経てアトランタ版、そしてテーズに戻ってきた」


探偵「はい」


先輩「で、インターナショナル・ヘビー級。これは力道山が作成し1962年11月5日、沖縄県の那覇で行われたムース・ショーラック戦から使用される」


(注:Wikipediaのインターナショナル・ヘビー級王座の備考には、このベルトが1963年10月9日の防衛戦より使用とありますが、この日にインターの防衛戦が行われた記録は見つけられませんでした。なぜこの年月日なのか、ご存じの方いらっしゃいましたらご教示よろしくお願いいたします)


探偵「こっちの仮説だとかなりスムーズですね」


先輩「じゃ、今回はこれで・・・」


探偵「でもWWA流用の仮説も・・・」


先輩「わかったよ~。ちょっと複雑だが行くぞ。WWAのベルトをインターナショナル・ヘビー級に流用した場合、キーになる年代が1962年だ」


探偵「はい」


先輩「まず62年3月29日、力道山がロスでフレッド・ブラッシーを破ってWWAを奪取する。そして4月23日に東京体育館でブラッシーと初防衛戦をし力道山が防衛した」


4月23日、東京体育館での初防衛戦。ベルトが上下逆だが、まちがいない


先輩「次は7月26日、再び場所をロスに戻しブラッシーと対戦するが力道山は敗れてしまい王座を失う」


探偵「と・・・ここまではWWAのベルトはこのモデルのものが確認できますね」


先輩「そう。で、このあと、2日後の7月27日にサンディエゴでザ・デストロイヤーがブラッシーを破り王座につく」


探偵「デストロイヤー初栄冠。これもベルトが確認できます。パート1で出たデストロイヤーの画像ですよね」


先輩「そう。その後デストロイヤーは63年5月10日、ブラッシーに敗れるまでベルトを保持するが、この約10ヶ月の間に力道山がインターのベルトを変更するんだ」


探偵「その間に何があったのか?ですね」


先輩「そうなんだ。順にいこう。ブラッシーがデストロイヤーから奪取した5月10日から先のベルトの姿の写真や画像はあるのかもしれないが、ブラッシーのベルト姿って探すと結構あるのでどれがこの日のなのか日時が確定できないね。不明とするしかないな」


探偵「うーん、そうですね」


先輩「次はその3ヶ月後の8月23日、第7代王者になったベアキャット・ライトだが、ライトに関しては人種差別が止まなかったこの時代に黒人初の世界王者という快挙を成し遂げたにもかかわらず、例のごとくベルトを持った写真や画像がない」


探偵「ライトは一度の防衛戦も行わず、不戦敗でタイトルから陥落したとの話もあるんですね。いろいろ事情があったのかなぁ・・・」


先輩「続いて、同年12月16日にその不戦敗でエドワード・カーペンティアが第8代に、翌年64年1月30日にはフレッド・ブラッシーが第9代王者となっているが、こちらもベルト姿が詳細には確認できない。だが4月22日に第10代の王者となったディック・ザ・ブルーザーからはモデルチェンジしたWWAのベルトがハッキリと確認できる」


ブルーザーからはこのベルトがハッキリと確認できる


探偵「うーん、WWA流用説だとしたら、やっぱり62年7月26日にロスで力道山がブラッシーに敗れ王座を失った直後かデストロイヤーが王座に就いたあと・・・このあたりの期間が最も怪しいことになりますね」



探偵「インターを使いだしたタイミングでベルトが見られずモデルも変わっています」


先輩「だな。じゃ、まずブラッシーの方から考えてみようか」


コンコン、カチャ


謎の子供「こんにちは。ねえおじさんたち。ドアの向こうにこんなの落ちてたよ」


先輩「あ、キミは所長と一緒にいた子じゃないか?(おい、これは所長の仕込みだな)」


探偵「(そのようですね)しゃべり方までコナンくんなんだね。で、何が落ちてたのかな?ん!?これは!?」


先輩「これはさっき話してた62年7月26日にロスで力道山がブラッシーとWWAの選手権を行ったときの・・・プログラムと書いてあるなぁ。でもなんでこんなものが?」


これは・・・


謎の子供「わかんなーい。あれれー?英語で書いてあるからボク読めないや。おじさん、ここなんて書いてあるの?」


先輩「え?ここ?こ、これは!!」


探偵「どうしたんですか先ぱ・・・あー!!これ、力道山の方はWWAだけど、よく見るとブラッシーの方はNAWAになっているッ!!」


 力道山がWWAで・・・


 ブラッシーがNAWAだ!!


先輩「どうなってんだ!?NAWAはカーペンティアが初代王者に認定されて、そのあと第3代王者の力道山のときにWWAに変わって・・・名前はなくなってたんじゃなかったのか!?」


探偵「WWAになっても単体のタイトルとして残っていたってことじゃ・・・あれあの、団体名がWCWなのにNWA王座があったみたいな・・・」


先輩「だとしたらこれは相当な手掛かりだよ!このプログラムだが、ちがうタイトルがそれぞれ書いてあって、お互いにベルトをしている写真が載ってるじゃないか。これから何が推測される?」


探偵「これはまるでダブルタイトル戦か王座統一戦だった可能性が・・・」


先輩「そう!!そしてもう一度、思い出して考えてみよう。WWAではこのベルトでの王座遍歴がはっきり残っていた。にもかかわらず、WWAの王座遍歴には名前がないはずのターザン・タイラーがベルトを巻いていた画像があった」


 探偵「そうでした」


先輩「つまり、タイラーの巻いていたあのベルトがNAWAだったとしたら?」


探偵「あ!!ということは!!アトランタ版世界ヘビー級っていうのはNAWAのベルトのことだった!?」


先輩「そう!!同じなんだよ!!そしてこれがイコール、テーズ・ベルトだ!!」


探偵「テーズ・ベルトは初めこそWWAだったが、もう1本ベルトが作られたことでNAWAとなった。そして作られた方がWWAになり、のちインターナショナル選手権のベルトとなった。確かにそれならテーズ・ベルトもインターナショナル・ヘビー級のベルトも経緯の説明がつきますよ!!」


先輩「現在までにテーズ・ベルト、インターナショナル選手権のベルトはそれぞれ現存が確認できている。しかしWWAのベルトは今日までに、これがWWAのベルトです!と、レスラーや関係者など、誰かの手によって本や雑誌で紹介されたことが一度でもあっただろうか?」


探偵「ない、ないですよ!!そうだったのか・・・」



探偵「これならすべて説明がつ・・・」


所長「フッフッフ・・・だいぶがんばっているな」


探偵・先輩「しょ、所長!?」


所長「(早く、それで撃って、早く)」


探偵「所長、なにを・・・?」


謎の子供「プシュ!」


所長「う、う~ん・・・犯人がね、見つかったんですよ目暮警部(ボク、早く蝶ネクタイ口に当てて、早く)」


先輩「お、おいなんだこれ?この子、自分でプシュって言ったぞ?」


探偵「名探偵コナンの眠りの小五郎じゃないすか?自分でしゃべってますけど・・・」


所長「テーズ・ベルトにはテーズの名前が入っているのだが、ブラッシーが保持していたとき、ベルトに入っている名前のところをブラッシーが黒いペンキで塗りつぶし、白で自身の名前を入れていたそうなのだ。テーズはこの部分のペンキを剥がすのに苦労したという・・・そういう話が残っているんだよ」


探偵「ほ、本当ですか?先輩、ブラッシーがベルトをしている、載っている資料はありますか?」


所長「それなら私が持っている。下はちょっと切れているが文字は確認できるぞ」


黒地に白で“FRED BLASSIE”の文字がはっきり見える


探偵「本当だ。テーズ・ベルトは金属のベースから直接文字が浮き出ている表記でしたが、ブラッシーのは金属ベースが黒で白い文字で表記されていますよ!!」


先輩「しかし所長、これは・・・」


所長「さすがだな。気がついたか」


探偵「え?な、なにがですか!?」


先輩「こいつは・・・テーズ・ベルトでもインターナショナル選手権に流用されたベルトでもないぞ・・・」


探偵「え!?」


ート3へ続きます!! 


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