○西暦1324年、日本国相模国、鎌倉、北条高時邸、応接室

 

北条時仁、高時、足利貞氏、長崎円喜が一堂に会する。

 

時仁「天使様が欲しておられる杖に心当りはございませんか?」

 

貞氏「天子様が欲しておられる杖…」

 

高時「うーん、怪しい」

 

円喜の心の声「時仁は謀反人である天子・後醍醐の密命を帯びた悪党に違いない。

その悪党を得宗・高時の眼前で成敗すれば、その褒美として執権を我が長崎家から輩出する事を認めさせる事も不可能ではない。

そうすれば長崎円喜が名実共に幕府の最高権力者となる事も夢ではない」

 

高時「(時仁に向って)トキュート殿の言うテンシ様とはミカドではなく、もっと恐ろしい存在である第六天魔王では?」

 

時仁「太守様も天使様の事をそのように思っていらっしゃったのですね。

やはり時代を問わず地上の人間である限り、それが民、各時代の権威の象徴、そして最高権力者であろうと真実を見極める事は極めて困難なのだと実感しました」

 

円喜「(抜刀して)第六天魔王の密命を帯びた悪党!覚悟!」

 

円喜、時仁に斬りかかる。

 

貞氏「!」

 

時仁、余裕でよける。

 

時仁「長崎円喜、正しい歴史においてお前が執権になる事は絶対に無い。

太守様、かつて権威の象徴であった最後の得宗としての御役目御苦労様でした。

清和源氏・足利殿、御子息の教育をお願いします」

 

時仁、亜空間へ消える。

 

円喜「!?」

 

貞氏「消えた?」

 

高時「神隠しか?」

 

 

○西暦202×年、深夜、東京都新宿区新宿三丁目、新宿駅、小田急小田原線ホーム

 

人がまばらなホームで、大杉憲造(中年)が電車の到着を待っている。

 

大杉「小田原北条氏は鎌倉北条氏の末裔じゃないし、徳川も松平も清和源氏じゃなかったんだけどな」

 

電車が到着し、大杉が乗車する。

 

 

○小田原線車内

 

大杉だけが乗車している。

 

大杉の声「なんで誰も乗らなかったんだ?」

 

車内の照明が消え、暗くなる。

 

大杉「!?」

 

車内アナウンス「The Next Station is Medieval Japan.

Please Change to North or South Dynasty」

 

大杉「!」

(To Be Continued)