○西暦1999年、日本国東京都渋谷区、スクランブル交差点

 

後鳥羽法皇、チンピラ達と揉めている。

北条時仁、後鳥羽に気付く。

 

時仁「上皇さ…」

 

警察官達がやって来る。

チンピラA、左手にPHSを持ちながら右手で警察官達に向って手を振る。

 

警察官A「(チンピラ達に向って)どうしました?」

 

チンピラA「(後鳥羽を指差し)この変な格好したオッサンに因縁つけられたんスよ」

 

警察官C「怪我は無いですか?」

 

チンピラB「僕達このオッサンに押されたせいで地面に尻もちついてケツが痛いです」

 

チンピラC「胸も痛いっす」

 

警察官D「(後鳥羽に向って)あー、押しちゃった?」

 

後鳥羽「押しただと?この東胡共が無礼にもニヤニヤしながらワシの胸倉を掴んだから両手で剥して突き飛ばしたのじゃ」

 

警察官A「(後鳥羽に向って)あんた、この若者達の腕を掴んで突き飛ばしたんだね?」

 

後鳥羽「それが何じゃ?」

 

警察官C「午後3時34分、暴行容疑で被疑者確保(後鳥羽の袖を掴む)」

 

後鳥羽「!?」

 

チンピラ達、ゲラゲラ笑い出す。

 

警察官D「取り敢えず署まで来て」

 

後鳥羽「離せ!田舎侍、在庁官人の分際で‼」

 

警察官A「田舎じゃねーよ」

 

警察官C「東京の警視庁だよ」

 

後鳥羽、時仁がいる事に気付く。

 

後鳥羽「トキュート!」

 

時仁「上皇様、時空の裂け目に飛込んでこの時代へ来てしまったのですか…」

 

後鳥羽「ワシは憎き執権義時を殺し…成敗しようとしただけであって北条を滅ぼそうとした訳ではない」

 

警察官D「(時仁に向って)お兄さん、このオッサンの知り合い?」

 

時仁「はい、一応」

 

チンピラA「お兄さんイケメンじゃん」

 

警察官A「イケメンのお兄さん、時間あればこのオッサンについて話聞かせてくれる?」

 

後鳥羽「トキュート、こいつらを何とかしてくれ」

 

時仁の心の声「北条を滅ぼ…そうか、『時に逆らう者』達によって滅ぼされた最後の得宗高時殿の時代へ飛べば『神の杖』又はそのヒントに辿り着けるかもしれない」

 

後鳥羽「聞こえているのか?ワシは憎き執権義時を…」

 

警察官C「うるさいんじゃボケ!」

 

後鳥羽、警察官に連行される。

 

時仁「上皇様、すぐに戻ります」

 

時仁の姿が見えなくなる。

 

後鳥羽「(連行されながら)待ってくれ!」

 

 

○西暦1324年、日本国相模国、鎌倉、北条高時邸、応接室

 

高時、飲酒しながら足利貞氏と対面している。

 

高時「足利殿は親父殿が自害した原因が北条一門にあると疑い、ワシを恨んでおるのではないか?」

 

貞氏「いいえ、亡き父は蒙古襲来から日本国を救った救国の英雄である時宗公に自分の意志で殉死したのであり、当時の内管領・平頼綱によって自害に追い込まれた訳ではございません。

それに太守様を恨むなど恐れ多い事でございます。

足利は鎌倉殿の一御家人に過ぎません。

鎌倉殿の御家人の筆頭であられる太守様を支える事が足利の役目にございます」

 

高時「もはや鎌倉殿、執権、得宗は飾りに過ぎん。

政治権力は内管領を世襲する長崎家が完全に掌握しておる。

ワシは長崎家当主に『そうせい』と言うだけじゃ」

 

貞氏「…」

 

長崎円喜の声「おい、待て!」

 

時仁の声「太守様に用があります」

 

高時、貞氏「?」

 

時仁が入室しようとし、円喜がそれを止めようとする。

 

円喜の声「無礼者、得体の知れぬどこのどいつだか分からん奴に『ここを通せ』と言われてもそうはいかん!」

 

時仁「太守様、伺いたい事がございます」

 

高時「…トキューサ殿か?」

 

貞氏「時房殿?」

 

円喜「時房様?」

 

貞氏「…時房殿は84年前にお亡くなりになられたのでは?」

 

時仁「(高時、貞氏に向って)太守様、足利殿、私は時房ではなく彼の末裔で共通歴30世紀末の大仏流北条氏当主、時仁です。

天使様の命で『神の杖』を探す為にこの時代へ参りました」

 

高時、貞氏「天子様?」

 

時仁「はい、私は天使様が欲しておられる杖を探しております。

時宗公御存命中に当時の執権殿の御許可を得た上で鶴岡八幡宮境内を探し回った事があるのですが、それらしき物は発見出来ませんでした。

何か心当りはございませんか?」

 

高時「うーん、ぱっと思い浮かばんなあ」

 

円喜「…」

 

 

○山城国、京都御所

 

後醍醐天皇、日野資朝と対面している。

 

後醍醐「今こそ両統迭立を終わらせる為、幕府を倒す」

 

資朝「はっ!」

 

円喜の声「両統迭立並びに時を通字とする北条宗家当主、得宗による専制及びその得宗の被官、御内人の筆頭である内管領を世襲する長崎家があってこそ、今の日本国は平和が保たれておるのだ。

その打倒を計画する天子、後醍醐は『時に逆らう者』なるぞ。

そのような謀反人の密命を帯びた者など、生かしてはおけん」

(To Be Continued)