○西暦30世紀、深夜、フランス王国パリ市、神殿塔

 

夜空に無数の月の残骸が見える。

 

北条時仁、塔の外壁を駆け上がり、最上階の窓のすぐ下まで接近する。

姫、窓から顔を出し、下を覗く。

 

姫「トキュート!来てくれたの?」

 

時仁「静かに!」

 

衛兵Aの声「Personne suspecte trouvée!」

 

衛兵隊が塔の周囲を囲む。

 

トキュート「姫、また逢いに来るよ!」

 

トキュート、塔から少し離れた地点目掛けて飛び降り、無事に着地した直後に逃走する。

 

姫「トキュート!」

 

衛兵隊長が遅れて到着し、時仁を目撃してハッとする。

 

衛兵B「Une personne suspecte s'est échappée! Poursuivez-la et attrapez-la!」

 

衛兵達、時房を追い掛ける。

 

衛兵隊長「あの男はまさか…追うな!」

 

衛兵A、時房に追い付き、剣で斬りかかる。

時房、素早く廻し蹴りで衛兵Bの顎を蹴り抜く。

衛兵A、失神して剣を落し、そのまま地面に倒れる。

時房、夜空へ舞上がり、亜空間へ消える。

 

衛兵C「カペーの餓鬼か?」

 

衛兵隊長「餓鬼なんかじゃない…あの男は第六天魔王の13使徒の一人、大仏流北条氏末裔、北条相模守平真人時仁だ」

 

衛兵達「!?」

 

衛兵B「Cet homme est-il un descendant de la tristement célèbre famille qui a envahi la capitale, exécuté les nobles et exilé l'ancien empereur sur une île isolée au milieu de nulle part?」

 

衛兵隊長「…そうだ。あの男は北条小四郎義時の弟、時房の末裔だ」

 

衛兵C「Vous plaisantez…」

 

衛兵隊長「…あの男は普段、上空から地球表面全域を支配する第六天魔王の拠点ルシファー・パレスにいるはず。

それが何故か珍しく地上へ降りて来た」

 

衛兵達「…」

 

衛兵隊長「今の我々の勝てる相手ではない…」

 

姫、時仁が消えた亜空間をボーっと見つめ続ける。

 

姫「二人離れて過ごした夜は…」

 

 

○西暦1999年、日本国東京都内、交差点

 

時仁の声「月が遠くで泣いてた」

 

時仁、交差点を行き交う群衆を暫く呆然と眺めている。

 

後鳥羽法皇の声「無礼者!東胡の分際で気安く触れるな!」

 

後鳥羽、チンピラ達と揉めている。

 

時仁「あの声は上皇様?」

(To Be Continued)