○遠未来、西暦2999年、地球上空、空中要塞ルシファー・パレス、通路
窓外に無数の月の残骸が見える。
ゲートに壮年男性が近付く。
不気味な光が彼を照らす。
人工知能の声「מי אתה?」
壮年男性「北条相模守平真人時仁」
人工知能の声「לאפשר כניסה」
時仁、ゲートを通過する。
○天使長の間
ルシファー、玉座に座っている。
玉座の横にガブリエルが立っている。
時仁「(ルシファーに向って)天使長様」
ルシファーの声「大仏流北条氏末裔トキュート」
時仁「כן」
ルシファーの声「過去の地球へ行き、『神の杖』を手に入れろ」
時仁「はっ!畏まりました」
時仁、時空移動開始する。
ガブリエル「…」
○タイムトンネル
時仁、瞑想している。
時仁の心の声「共通歴30世紀、月の涙が降り注いだ後の地球上に残存した大陸の表面は殭屍と餓鬼が人肉を貪り喰い争う生き地獄と化した。
地下に逃げ落ちた人類は…」
○西暦2999年、地下、人体保管施設
無数の人体がプラグに接続された状態で冷凍保管されている。
施設内を機械生命体が巡回、監視している。
保管されている人体の心の声「我々が監禁、冷凍保管されるようになってもう何年経つのだろうか…
時間の感覚が薄れつつあり、今が共通歴何年なのかすら最早判らない」
時仁の心の声「私の時代の地上に人類が安心して生きられる場所は存在しない…
私は天使長ルシファー様に仕える13人目の使徒、北条…」
○西暦13世紀前半、日本国山陰道隠岐国
後鳥羽法皇「トキューサ…
思ひ出づる折りたく柴の夕煙」
時仁の声「むせぶもうれし忘れ形見に」
後鳥羽「!?」
夕煙の中から時仁が出現する。
後鳥羽「(驚きながら)トキューサ!」
時仁「いえ、私は北条時房ではなく彼の末裔、時仁です。
入手しなければならないアイテムがこの時代にある可能性がございますので参上致しました」
後鳥羽「(喜びながら)そんな事よりトキュートとやら!
ワシを帰京出来るように執権へ取次げ」
時仁「歴史の改竄は時空犯罪ですのでそれは出来兼ねます…
それに私の時代には執権も得宗も内管領も、そして鎌倉殿、征夷大将軍さえもおりません。
鎌倉幕府執権、得宗及び内管領は共通歴1333年の倒幕で消滅し、征夷大将軍は1868年の王政復古で廃止されました。
現在、私は天使様にお仕えしております」
後鳥羽「天子様にお仕え?
そうか!トキューサの末裔は帝の直臣となったのか!?」
時仁「私の探し物はこの島には無さそうですね…
上皇様、直接お会い出来て光栄でした。
時間を無駄にしたくないので失礼致します」
時仁の姿が見えなくなる。
後鳥羽「…!?
トキュート待て!
ワシは京へ帰りたいのじゃ!」
(To Be Continued)