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不定期シャドバ覚書

デジタルカードゲーム『シャドウバース』の対戦環境を考察するブログです。
管理人による自由気ままな考察を書き連ねていこうと思います。
おそらく誰も見ないでしょうが、管理人による自己満足と備忘録として残していければと。
当方ネメシス使い。

 

 

※この記事は非常にアクセス数の多い記事なので、再掲させていただきます。時間があれば、シャドバのインフレについてさらに執筆したいと思います。

 

 

 

 

以前からですが、シャドバはインフレがスゴいゲームだなあと思います。パックが出るたびに超強力なカードが登場しては、環境をインフレさせていきますからね。

 

神々の争乱から現在にいたるまで、度重なるインフレをしてきましたが、その原因について考えていこうと思います。

 

まず、インフレの原因となる1つ目の理由は、新しいメカニズムの登場です。その傾向は、主にキーワード能力となって表れています。

 

DBN期からチョイスが登場し、カードの出し方に選択肢が増えたのは良いものの、その後アクセラレート、直接召喚、結晶、融合、操縦など様々なメカニズムが追加され、プレイングに幅が出るようになりました。

 

こうしたメカニズムの複雑化が一気に進んだのが、VEC期からだと思います。結晶の追加は、シャドウバース特有のアミュレットというカードの特性を気軽にデザインに組み込める一方で、ゲーム全体を俯瞰してプレイする必要性に迫られたと思います。

 

私は、アクセラレートと結晶というキーワードの追加は大変すばらしいものだと思います。私自身が、MTGとハース、ルーンテラ、シャドバしか知らないせいもありますが、カードの新規イラストを追加することなく、フォロワーとスペル・アミュレットというデザインの使い分けができるのは、このゲームの本当に面白いところだと思います。さらに、スペル・アミュレットに加えてフォロワーという強力な特性を残したまま、別の能力に変化させる仕様も面白いです。

 

しかし、多くのキーワードを追加し、カード自体に付加価値が大量に付与された結果、デッキ全体の高パワー化につながっていったと思います。

 

2つ目の原因は、パックリリースごとにゲーム環境を変える必要性があるためです。サイゲームスはプレイヤーの定着を図るため、常に環境を変遷させ、プレイヤーを飽きさせないようにしています。そのため、パックごとにほぼすべてのクラスへ新しいデッキ軸を追加し、新鮮な気持ちでプレイし続けられるようにしています。

 

ほかのDCGを遊んでみて分かったのですが、環境が半年も変わらないとだんだんとゲームそのものに飽きてしまいます。アナログTCGだと、目の前の人と対面して遊ぶため、コミュニケーションという遊びが付与され、飽きによるゲームへの負の感情を相殺できますが、デジタルTCGだと、対戦するということだけに焦点があてられるため、対戦そのものに飽きてしまうと、ゲームに触れようという気持ち自体が減っていきます。

(デジタルTCGとアナログTCGのプレイ感覚の違いや、ゲームにおけるコミュニケーションの必要性など、後に書く機会があればアップしたいと思います。)
 

しかし、パックごとに新機軸を追加し、その新機軸を使わせるには、必然的に前の軸よりも強くしなければいけません。そのため、パックリリースごとに次々インフレしていくのです。

 

多くのパワーカードを刷ったパックはいくつかありますが、代表的なのはWLDとOOTでしょう。WLDは言わずもがな、ニュートラルという新機軸を追加したため、ほとんどのクラスがニュートラルデッキを使用することになりました。ここまでは、開発の狙い通りだったと思います。ただ、WLDが失敗したのが、強力なニュートラル・カードを追加したため、どのクラスも同じカードしか使わず、結果ヴァンパイアクラスだけが最適解という結果となりました。これは、開発のデザイン方針が間違ったものだと思います。後に、この反省が機械・自然タイプのデッキ軸へとつながっていきます。

 

WLDは開発の設計ミスだとしても、OOTのインフレは狙ったものでした。絶傑に代表される新しいデッキ軸となるカードを大量に加えたため、従来のアグロ・コントロール・コンボのアーキタイプに縛られない新たな専用の軸で環境が上書きされていきました。これが、シャドウバースにおける本格的なインフレの始まりだったと思います。

 

その後、ALTを経て、STRで機械タイプが追加されました。これは、専用クラスとニュートラルに共通するタイプ「機械」を持つカードを追加し、新しいデッキ軸を作りました。WLDと異なるのは、専用クラスとニュートラルとの間に機械カードを挟むことで、専用クラスを活かす方向へとシナジーが付加されていったことです。これにより、WLDのようにどれもニュートラル・カードを使うということはなくなりました。

 

しかし、その後新タイプ「自然」に加え、ULCの代表者軸、そしてWUPで「機械・自然」が追加刺されたため、前の環境を更新する形でインフレが進んでいきました。

 

単一のパックでデッキを完成させようとする傾向もあり、前のカードのほとんどが弱いカードとして切り捨てられるようになってしまったのです。

 

このため、インフレの流れを見ていくと、

 

OOT・ALT-絶傑軸

STR・ROG-機械軸

VEC-自然軸

ULC-代表者軸

WUP-機械軸(ここで再び機械軸へと戻ったため、STRのカードたちが蘇りました。)

FOR・SOR・ETA-現在

 

このように変化していきました。

 

WUPで再び機械軸へと戻ったため、新たなタイプを追加することなくインフレは抑えられました。その後は、明確なシナジーのあるカード、強すぎるシナジーのあるカードの追加が抑えられ、インフレは抑制されつつあります。

 

インフレの流れはOOTからですが、明確にインフレを加速させたのは、タイプを追加したSTRからだと思います。タイプによるシナジー色が強すぎたため、パックごとにインフレを余儀なくなれました。

 

STRのスタン落ちで、WUPのカードは事実上機能不全となり、半ば強引な形でインフレは収まりましたが、それでもカードパワーはこの時期に一気にインフレしました。

 

FOHから現在までは明確なデザインがされたシナジーが少ないため、構築の幅が広く、インフレを抑制できていますが、ETA環境が前環境とあまり変わり映えしないため、飽きてきた人も多いようです。

 

3つ目の原因は、カード単体に効果をつけすぎということと、特定のカードが強すぎるということです。

DCGのサービスも営利が目的であるため、パックごとに強いカードを封入しなければ、売り上げにつながりません。しかし、最近は1つのカードに様々な効果がつけられています。

 

例えば、ネメシス・クラスのフィニッシャー「カオスルーラー・アイシィレンドリング」は、そのまま出せば、魔導列車に加えて、相手のフォロワーの効果を消す「デッドペナルティ」が入手できますが、直接召喚で出すと加えられませんが、操縦で全フォロワー消滅の「魔導列車」の2つを0コストで出すことができます。さらに、魔導列車は高いスタッツに加えて操縦できるので、相手は苦労してアイシィと列車を除去しても中から別のフォロワーが出てきます。

 


 

(↑様々な役割がつけられたアイシィ様)

 

このように、「効果消失」「全体消滅」「操縦」という様々な役割を1枚のカードに付与したカードが多すぎるということです。これにより、デッキパワーが高くなっていきます。

 

また、強い単体のカードが追加された結果、特定の場面でそのカードに対応できる状況でなければ、その後の試合展開が非常に不利になるということも多く見受けられます。

 

さらに、役割が多いということは状況に応じて適切に効果を選択しなくてはいけないため、複雑化にもつながっています。

 

4つ目の原因は、対戦中に気にしなければいけない要素が多すぎるということです。このことはインフレの原因にもなっていますが、複雑化を

より強めるものだと思います。

 

例えば、前環境使用したデッキである、アーティファクト(以下、AF)・カードの名前の種類を参照した、新AFネメシスは、「アブソリュートモデスト」の破壊された名前の種類の数によって相手に与えるダメージが変化し、「スピネ&ルチル」の自動進化にも影響します。そのため、AFカードを加える必要があり、「パラダイムシフト(以下、P・S)」トークンを加えていくカードをプレイします。そのパライダムシフトはAFフォロワーが破壊されるたびコストが下がり、たくさんのAFを破壊する必要性があります。そして、コストがさがったP・Sを名前の種類を増やすように3種類出さなければいけません。

 

さらに、フェイランが構築に入っていれば、連携数も参照しますし、ユニオンバーストがあれば進化回数、アイシィが入っていれば破壊数も参照します。

 

このため、この試合中に参照しなければいけない要素は「P・Sを出すカード」「AFの破壊数」「AFの名前の種類数」「連携数」「進化回数」「破壊数」と非常に多岐にわたります。

 

このような要素の詰め込みが、シナジーの強化をもたらし、インフレと複雑化を招いています。