エルヴィン・シュルホフ(Ervin  Schvlhoff)
1894~1942

「5つのジャズ・エチュード」「ジャズ舞曲組曲」というタイトルを見て、楽譜を買ってみました。

早速弾いてみたところ、ジャズというよりは現代曲。

彼の生涯を読んでみると、

ドイツ系ユダヤ人としてプラハに生まれた。裕福な家庭で音楽的才能に恵まれたエルヴィンを母親は沢山のコンサートに連れて行き、ヨーロッパ中の有名な教師に連絡を取って幼いエルヴィンの指導のために雇ったという。

第1次世界大戦で徴兵された後はすっかり考え方が変わり、ナショナリズムへの反発や軍隊への反対意識がより過激なものになったという。反戦主義から急進的なダダイズムに加わり、前衛音楽の最前線に立つ。そんな頃にジャズにも出会った。
1920年代は絶頂期でこの「ジャズエチュード」は1926年の作品。「ジャズ舞踏組曲」は1931年の作品。

1930年代に入ると彼の取り巻く状況に変化が。ユダヤ人であることのみならず過激な主張により、ナチスドイツからは退廃音楽の烙印が押され、作品も共産主義への傾倒が顕著となってチェコスロバキア政府からも危険視された。

そしてソビエト連邦に市民権の付与を要請、妻と子どもにも同様に要請、認められるも、移住の直前にシュルホフ本人はナチスドイツに逮捕され、強制収容所入れられた。逮捕を逃れた妻から差し入れられた紙とペンで、作曲中だった交響曲第7番のピアノスケッチを完成させたというが、その後収容所の外に出ることはなかった。公式の死因は肺結核となっているらしい。

時代に翻弄された作曲家。

※ピアノ曲「5つのピトレスク」の第3曲目は「未来に」というタイトルが付けられていますが、上の段がヘ音記号で5分の3拍子、下の段がト音記号で10分の7拍子、複雑に休符が並んでいますが音符は出てきません。?マークや!マークが出て来ます。顔のマークもあります。レコーディングしたものもあるらしいのですが、全く無音のものや、鼻息やため息を入れたものがあるらしいです。コンサートホールでなら、パントマイムのような表現が出来るのでしょうか。