柳田邦夫著「いつも心に音楽が流れていた」の中で、著者は「歌はいのちのエネルギー源」と書いています。

先日とある病院でコンサートを致しました。そこへは年に何回か行っています。

今回は新棟ができて、今まで職員のラウンジでやっていたのが、新棟のカフェの隣のパブリックスペースでの演奏でした。

パブリックスペースということは、コンサートが目的でなく休んでいる人もいらっしゃるでしょうし、音が周りに拡散するので、中にはうるさいと思う人もいるかもしれません。

これから先コンサートがこの場所で続けられるかどうかは、このコンサートにかかっていると言われましたので、結構プレッシャーでした。

病院に着くと、VIPのような待遇で控え室に案内してくださいました。

新棟はホテルのようにキレイでした。

控え室に手作りの美味しいお茶がご用意されていました。

コンサートには200名近くお集まりくださいました。入院していらっしゃる方、通院していらっしゃる方、一般の方などなど。

今回の編成は、ヴァイオリン、チェロ、ハープ、ピアノという豪華版です。

プログラムはクラシックを中心に、映画音楽、タンゴなど、そしていつも皆様と歌うコーナーを設けています。

第1部が50分、休憩を挟んで30分の予定でしたが、アンコールがあった為、結局後半も45分くらいになってしまいました。

お疲れになると思うのですが、途中で席を立たれる方が殆どいらっしゃらずに終わりました。

いつも病院のコンサートで思うことですが、患者の皆様やご家族の方が、我々演奏家より音楽を欲していらっしゃるということです。

初めから申し訳ないくらい暖かい拍手に包まれます。こちらも何とかそれに応えようとします。

コンサート会場では得られない感激を、私も覚えます。

こちらはただただ一所懸命演奏するだけですが、涙を流して聴いてくださる方もいらっしゃいます。

終わってみて、次へ繋ぐことができたのではないかと実感致しました。

病院のスタッフの皆様、聴きにいらしてくださった皆様、そして我々との結晶のコンサートでした。

いのちの源になっていたら、嬉しいです。

しかし病院ですので、コンサートを離れますと、手術が終わるのを待っているのか、疲れきった顔でロビーで座っているご家族を目にすることもあります。

自分が健康であること、そして音楽ができることに感謝致します。