【疾走】しっ-そう


[名](スル)非常に速く走ること。

(国語辞典より)



う~~ん

今回は

フィクションでなく

ノンフィクションです!








在る~日♪
路ぱたで~♪



信号待ちをしつつ


何気にふと左方を見ると


原付バイクが走ってきました


(原付法定速度弱くらいで)



普通のケッタマシーン(岐阜弁で原チャ)
(自転車=ケッタ、原動付き=マシーン)




しかしそのケッタマシーンには

それに牽引されるワンコが・・・




犬種はドーベルマン

まだ少年(少女?)な感じのドーベルマン


若さに任せて妄ダッシュ?



若いからいいが(?)


今後どうなることやら一抹の不安・・・



写メを撮るのも忘れ(?)


呆然と彼らを眺めた


左から右へと・・・




ワタクシが信号待ちをしていたその対岸で

信号待ちをしていた見知らぬ男性は

ワタクシと同じように右から左へと
そのカンバセを泳がせていた・・・

ハタと目が合う

どちらともなく
何故か苦笑い・・・



愛情表現は人それぞれ

散歩の姿も人それぞれ・・・




名も知ら~ぬ~♪

若き~ド~~ベル~マンよ~~♪




今はいい・・・(かな?)

しかし今後
貴方のご主人の散歩方法が変わることを
ワタクシは切に願うぞよ・・・
(きっと変わるのだろうが・・・)


年老いたワタクシは


ゆっくり


また~りと


自分と愛犬(が、いれば)の、じか足で


同じ歩を進めたいなぁ・・・




そして運動(遊び)に至っては


主人のペースではなく


自分(自犬?)の本能のまま


動きたいように遊べばいいのではないかと思うぞよ・・・





【事後談】


しかし
この話を人にしたところ


『川沿いの散歩コースにはバイクで散歩させてる人、結構いるよ?』


とのことでした・・・



ワタクシが知らぬだけでこの散歩(運動?)方法は
奇異なことではないのか・・・?!

百歩譲って川原はOKとしたとして・・・



いや、しか~~し!



アスファルト(公道)を全力疾走は
やっぱしどうかと思ってしまふ・・・




【天然】てんーねん


人為が加わっていないこと。自然のままであること。また、そのさま。

(国語辞典より)







人にはそれぞれ


何らかの特技がある



・背が高い


・顔がいい


・仕事が出来る



これは特技にはならない




・下品すぎる程おもしろい


・喋れば愉しい程にスベりまくる


・呆れる程のバカ



癒しという特技であろう



・天然・・・


なんと・・・・


イライラと嗤いを


微妙なバランスで保っている



的外れなコメントをし

周りをイライラとさせるも

自然体で在るが故

怒られず


在るときは嗤いさえ起こしてしまう才能



これは特技と云うべきか








そんな天然な男


元は


結婚できない天然な男



しかし彼にも遅咲きの出会いはあり


周囲を驚かせる年の差の

嫁をGETしたのであった




晩年の結婚


初めての海外

ハワイでの結婚式


うかれモードの天然な男


モデル並みのポージングを要求され


他人から見れば恥ずかしくしかないその要求も


嗚呼

嬉や・・・



カメラマンに


『新郎さん、(新婦の)腰に手をあてて下さい!』





天然な男


もちろん

裸の大様並みなポージング




『腕を組んで下さい!』


自分の胸の前で

腕組をする




そんな天然な男


初めての海外で

レディーファーストを学んできたのか


帰国後友人のマンションにて

エレベーターに乗り込む事 5F着


先に下りた天然な男


女性二人の為に

扉を手で押さえる・・・


素晴らしい!


日本の男は

なかなかエスコートが出来ないとよく云われる


最近では草食男子と云われる

男は出来るのであろうか・・・


但し

天然な男は晩年


うかれたハワイ帰りの

付け焼刃







『アンタ、それ、扉で手ぇ挟むよ???』



付け焼刃なエスコートは


閉まってくる筈のない


扉の終着点を押さえている






レディーファーストさえも嗤いにできる・・・・・


恐るべし!


天然な男!



【台所】だいーどころ


家の中で食物の調理や炊事をする場所。厨(くりや)。勝手。炊事場。だいどこ。

(国語辞典より)







ある男が旅立った


ある意味、自分から逃げる為にだったのかもしれない


男は何もかもに失望していた




男が

10代最後のことだった




遠くへ・・・

遠くへいくのだ・・・


自分のことを知らない人間ばかりの場所へ・・・




アメリカへ・・・

男は何故かそう思っていた


アメリカへ・・・



当時の彼には

『アメリカ』という言葉しか思いつかなかったのかもしれない



長い長い時間をかけ、

男はアメリカに辿り着いた


アメリカという大陸に到着してから

彼は何を追い求めていたのか・・・



自分から逃げている男には判らなかった


しかし

それでも


それでも彼は

自分の居場所を求めていたのかもしれない


それからも男は

長い長い旅をした



バスに乗り

時にはヒッチハイクをし


とうとう男は

辿り着いた


己が求めていたのではないかと思われる場所に



そこは

インディアン文化と西部開拓時代を彷彿とさせる

大自然真っ只中な

アメリカ西部の田舎町だった


何もない


その何もない場所は


男をその地に留まらせる

大きな理由となったのだ



辺りを探索すると


何もない

誰も居ないと


思っていたのが勘違いだったと気付く


やはり小さくではあるが

そこは町


人の生活があったのだ



牧場があった



興味を持ったその男が

牧場を覗いてみると


住み込み牧夫を募集しているという


男はその話に飛びついた



働いた


男は思考回路が働かなくなるほど働いた


逃げるとこを選択したその男は


生命力に溢れていた






そんな生活が何ヶ月か続いたある日


ふと

男は思う


『オレの居場所はここではない』


勝手なものだ

『ここではない』

と正論を云いながら


ただ単に

この暮らしに飽きたのだ


男は牧場主に云う


『オレは自分の場所を探しに次ぎの町へ行く』


牧場主は大層残念がったが


そこは大らかなアメリカン


男の夢を応援する言葉を口にした


『休みも給料もなかったのによく働いてくれた

 今までの給料代わりに

 あの馬を持っていけ』


牧場主は

牧場一、駿足な馬を男にゆずった




譲り受けた馬に跨り


男は早々に牧場を去った








男は放浪した




牧場主から餞別にもらった

山ほどの食料も底を尽き

野宿にも限界を感じた頃


少し大きな町に辿り着いた


男はそこで

迷わず譲り受けた馬を売った



まとまった金が出来た男は

すぐさま宿をとり


何週間ぶりに旅の汚れを落とした


久しぶりに人間らしい感覚を取り戻し

男は酒場に向かった


久しぶりに呑む酒は最高だった


酒をたらふく呑み

肉を貪り喰い


男は何年かぶりの高揚感を覚えた


酒場は陽気であった


気さくな客

楽しいマスター

気の利くバーテン


昔あった当たり前がそこにはあった



ふと

隣席の客が男を見ている


筋肉が異様に発達している

身長の高い大男だった


男は大男を横目で見ながら


『バッファローマン』

と心の中で命名した



『おい!』


男のそんな思いに気付いたかのようなタイミングで

バッファローマンが話しかけてきた


『何?』


心の思いがバレたか?!

と、少し不安に思った男にかけられた言葉はこうだった



『お前は何人だ?』


『・・・・・・日本人だ』


『そうか!俺は日本ツウだ!まぁ、ビールでも呑め!』


そう云うと

バッファローマンは男に酒を勧めた


酒の力と

バッファローマンの気さくさからか


男はバッファローマンと席を共にし

楽しい時間を過ごした




『ところで友達』


『何だ?』


『俺は日本ツウだと云っただろ?』


『嗚呼・・・日本の何を知っているんだ?』


『これを見てみろ』


バッファローマンはそう云って

筋肉の発達し

パツパツになった左腕のTシャツをめくった


そこには


【 台 所 】



久しく見ていない文字が浮かび上がっていた




『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』


男は絶句した


そんな男を尻目に

バッファローマンは続ける


『これは日本の<漢字>というものだろ?

 俺は日本ツウだからな』


隆々とした筋肉を膨らませながら

バッファローマンは得意気にそう云った


『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』


それでも沈黙している男に

バッファローマンはたたみかける


『でも、意味が判んねーんだよ

 これはどういう意味だ?』


男は心を決めた


これは親切だ

親切で教えてやるのだ


これは日本人の義務だ






『・・・・・・・・・・・・・っチン』


『あ???』


『・・・・・・・・・キッチン』



『え???』


『あんたの腕に書いてある、すぐには消えないその漢字の意味は!

英語で言うところのキッチンだ!!!』



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



呆然とするバッファローマン


言葉の出ないバッファローマン


放心しすぎて酒が唇の端からこぼれているバッファローマン


嗚呼

バッファローマン・・・・・・・・・・



そこから男は彼を分析した



日本に憧れていたんだろう

漢字を使わない国では

その文字がとてもクールだと云われている事を聞いた覚えもある


しかしこんなに

日本から離れた場所で


漢字の意味が正確に伝えられているのかは疑問だ


ざっくりとしたイメージで

翻訳されているのであろう


男はタトゥー職人の気持ちになって考えた


【 台 所 】=自分の土台となるべき場所


そう翻訳したのではあるまいか・・・



まぁ


生命の糧となる


人間の食事を作る場所なのだから


あながち間違いでもないのか・・・








日本から逃げた筈なのに

遠い遠いアメリカの西部にて


男が見つけたのは


自分の居場所でなく

日本漢字であった・・・




『オレはいったい何を探しに

 こんな所までやったきたんだ・・・・・』






結果






『台所』


という漢字を


簡単には消せない方法で

片腕に背負っている人間を見て




男はあっさりと




自分の土台である母国へ帰る決心をした