奥田英朗著『オリンピックの身代金』を読んでいる。
1964年(昭和39年)の東京オリンピックを巡ってテロリストと警視庁刑事との攻防を描いているが、全ての歴史ものは現在を描いているものだと思う。山本周五郎、池波正太郎、藤沢周平を始めとする歴史小説が人気を博したのも、彼らが江戸時代という舞台装置を通して「現代」を描いたからだと思う。だからと言う訳ではないが、歴史に耐える書籍というのは、いつの時代(現在)にも通じる真理なり本質的なものを持っているし、人間の性はそれ程変化していないということなのだろう。
『オリンピックの身代金』は、半分程読み進んだところが、今の格差社会と呼ばれる状況やテロに通じるところも書き込まれている。「もはや戦後は終わった。」との言葉と東京オリンピック開催で高揚する人々と、オリンピック開催会場の建設現場で働く人々の現実認識の相違…。まあ、この小説については、また来週にでも述べてみたい(昔から、読書感想文を書くのは苦手だったが…)。
週末のニュース番組の特集は、どこも「世界同時不況」である。世界中で起こっている政治と経済との乖離も話題となっている。「100年に1度」という言葉も、かなり浸透してきているように感じる。100年前には生まれてもいなかったので、「100年に1度」と言われても齢80歳代のグリーンスパン氏程実感を伴って今の現実を感じることはできないが、それでも生きていると色々な出来事に出くわすものだと、それなりに感心する(感心してどうする訳でもないが…)。
1995年4月19日のドル/円=79.75へ向けて相場が動いていた時、自分は為替市場から離れていたので、マーケットの実際の雰囲気は分からない。ただ日経新聞を始め様々なメディアがドルの凋落を喧伝し、世の中が騒然となったことは何となく覚えている。バブルが崩壊して5年経過した時点での100円を割る円高だったので、日本経済に与える影響も無視し得ないものがあった筈だが、今の様な極端な雇用調整が進んだとの記憶はない。
当時の日本企業は、利益の内部留保に努めていた(配当は少ない)ので、従業員の解雇は限定的なものに留まったし、雇用調整も数年単位で実施していたのではないか。米国型のグローバル資本主義では、どうしても株主への配当が経営の第一目標となる。内部留保が少なくなるので、急激な経済環境の変化に対応するだけの企業体力がない。
そんなことを今批判しても詮無いことだが、資本主義社会に於いて一体企業は誰のものかという問題を、改めて考えみるチャンスかも知れない…。
以下は、今週の予測レンジ。
【ドル/円:88.00~93.00】
取り敢えず、直近の安値を、ザラ場ではあるが、更新した。先週末はややパニック的なドル売りに88円台前半まで急落した後、91円台前半まで値を戻しているが、週足自体は反転上昇する足にはみえない。
先週述べた通り、90.90の直近の安値を更新すると、85.80前後までサポートらしいサポートはない。先週末のドル安値が意識されるレベルとなっているが、今週は89円~92円で揉み合った後、85円台へ向けての動きとなると思っている。日銀により介入の話も取り沙汰されているが、介入でドルが戻ったところは絶好の売り場となりそうだ。引き付けて売りで攻めたい。
クロス/円は、難しい局面となっている。日足ストキャスティックスは、上向きになっている反面、週足ストキャスティックスは依然として下向きである。上昇して引ける可能性が高いようにみえるが、下押しもそれなりにありそう。以下の下値予測値を下回るまでは押し目買いかと思っている。
【ユーロ/円:118.00~125.00】
週足は先週の下げを帳消しにしている。週初に若干の下押しはあるとみているが、下値確認後は反転上昇する可能性が高い。
日足パラボリックが122.21まで下げてきている。相場がここにタッチすれば、押し目買いとなる。引値も121円超えとなっているので、120円台から下は買いで攻めたい。
【英ポンド/円:133.00~143.00】
週足は、安値圏で寄引同事線に近い足となった。これが相場の反転上昇を暗示するものかどうか分からないが、138.50前後のレジスタンスを相場が上抜けてきたら注意が必要である。上抜けた場合には、その上のレジスタンス=142.60前後までの上げとなる。
日足では、英ポンド/円の上げを示唆するインディケーターはない。140.00前後まで相場が上げないと、押し目買いにはならない。反面、133.00前後にはサポートが形成され始めている。ボリンジャーバンドが縮小してきているので、これが拡大する局面の相場に乗って行くのも一手である。
【豪ドル/円:57.00~64.00】
依然として、57.00~64.00のレンジで保合っている。
日足は、61.70前後にレジスタンス、57.50前後にサポートが形成されている。日足ストキャスティックスが上向きになっているので、相場は下押しを入れながら上昇する可能性が高くなってきている。