養老孟司氏の『身体の文学史』を漸く-と言うのは、養老氏の発想というか切り口が、我々の常識(?)の裏から物事を観ているようなところがあるので、ところどころで後戻りしながら読み進める必要があったから-読み終わって、今は中沢新一氏の『古代から来た未来人 折口信夫』を読んでいる。
養老氏の著書では「身体の喪失」というのが一つのキーワードであり、日本人が精神と身体で構成されている人間から、その身体性を明治以降排除してきたことを日本文学を通して論じている。また、中沢氏は縄文人或いはそれ以前の日本人にとっては生と死が一体となっていたのではないかということを、折口信夫の研究を通して論じている。
身体を喪失し、精神というか脳だけが生み出すバーチャルな時代のど真ん中に生きざるを得ない自分達にとって、どうやって身体性を取り戻すのかは、環境問題を含めて喫緊の問題ではないかと考えている。ネットで自殺を募る者、ネットで書き込みをして殺人に走る者、生身の人間とのコミュニケーションに悩む者、これらは脳が生み出した世界(社会も国家も)が極まっていることの傍証ではないのかと考えている。
相場の世界もバーチャルな世界である。ただ少し救われるのは、以前紹介したナシーム・ニコラス・タレブ著『まぐれ』に「人は投資の決断をするとき、それまで集めた客観的なデータを全て無視して、感覚(感情)によって投資に踏み切る」といった記述があったこと。自分もチャートをみながらポジションを採るが、売りや買いのポジションを建てるその瞬間は自分の感覚でしかない。その感覚を支えているのは、自分の身体性だと思っている…。
以下は今週の予測レンジである。
クロス/円は、天井が近いと叫び(?)続けているが、今週も同じトーンである。次の上げのためのエネルギーを充填するため、今週は軟調な推移を辿るものとみている。
ドル/円:105.80~107.80
長期的なドル下げ局面での、中期的な戻し過程の中での短期的な下げ。
何のことかというと、月足でのトレンドはドル下げであるが、週足では去年6月の高値からの下げトレンドが崩れ調整的な戻り高となっている。ただ短期的には先々週の上げの下値固めをやる必要があるので、先週と今週はそのタイミングではないかと考えている。
先週末の引値は転換線=107.42に支えられた格好となっているが、パラボリックが107.00まで上げてきており、相場がこれにタッチすると戻り売りの展開となる。ストキャスティックスの%Kが下げ始めている。今週は、108円台まで上げた相場の起点となる106円台前半乃至105円台後半までの下げとなりそうだ。但し、相場は110円まで上げると感じているので、106円割れからは押し目買いではないかと考えている。まあ、先のことを考えても仕方ないので、106.00±20ポイントまで下げた時点で改めて考えてみたい…。
ユーロ/円:165.00~168.00
今週は結構下げる可能性が高いとみている。特に、先週末の足が下げを暗示していると感じている。その足は、上ヒゲが長く実体の薄い陽線となっている。ほぼトウバに近い格好である。また、ボリンジャーバンドは縮小し切っており、ストキャスティックスは下向きになってきている。次の動きは、下げとなる確率が高いとみたい。
英ポンド/円:210.50~214.50
懲りずに売りを建てているが、相場は220円を目指す格好となっている。多分、ユーロ/英ポンドの調整が進む中で、ユーロ/円の下げ英ポンド/円の堅調推移といった展開になりそうだ。
英ポンド/円が220円を目指すといっても、一本調子ではない。もう暫く揉み合わないと220円までの上げエネルギーを充填できないとみている。今週の下げは、浅ければ210.50、深くとも208.50。売りを建てているので、上げはあまり考えたくはないが、高値は213.50乃至214.50で止まるものとみている。
豪ドル/円:100.80~103.80
今週も高値遊びが続きそうだ。週足で去年の高値と今年の安値にフィボナッチを当てると103.80近辺が戻り高の目処となっている。今年の安値からの上げも12週となっており、また新値10手を数えている。いつ反落してもおかしくないタイミングに入っていることも確かである。高値飛びつき買いには注意が必要となってきた…。