よく聞かれるんです。


「脳出血の時ってどんな感じだったんですか?」とか、


「どう痛いんですか?」って。


僕は、後ろから壁が迫って来てドーンドーンと急に頭にぶつかって来たイメージ。

とテレビやラジオ、各種インタビューやニュースではお伝えしたんですが詳細を話した事って多分無いんですよね。


勿論悪気は無かったんですが、話したら恐怖を与えてしまうかなとも思ったし、何より他人の脳出血の痛みや詳細にまで興味がある人が果たして居るのかな?と思ってしまったのが本音でした。


でも誰かの役に立てるなら当時の詳細を思い出しながら(と言っても危うく死にかけたので、結構リアルに覚えているものです。)丁寧に綴って行ければと思います。


まず僕が脳出血を起こしたのは2019年7月20日。


前々日の7月18日から7月19日を迎える瞬間ぐらいまでは確か友達と先輩と、知り合いのお店に行ったりBARでお酒を飲んだりしていました。(飲酒量は脳卒中の発症リスクに比例しているみたいなので、直接コレが原因になったかは不確かですが注意喚起として一応記入。)


そして脳出血を起こす2〜3カ月前から僕は首の後ろ側(頚椎)と、右目の後ろ側が痛かったんです。痛み止めは飲んでいましたがあまり効果は有りませんでした。


最初は近所のクリニックで診て貰ったんですが結果は「風邪だと思います。」との事でした。(勿論CTやMRIも無し。)


ちなみに僕は過去にCTを2回、MRIも15歳の頃に1度だけ撮っているんですが、脳動静脈奇形の事は何も言われませんでした。


その後、総合病院、大学病院と移動しましたが全て結果は「風邪だと思います。」だったので流石に僕も信じました。


ただ何日経っても体調が良くならず、むしろ徐々に悪化している気がしていました。


そんな中で番組企画の24時間マラソン。

共演者やスタッフさんは心配してくれていたんですが、いかんせんお医者さんから風邪と診断を受けている以上は間違い無く【風邪】だろうと思いながら24時間走り続けました。


そして、6月の24時間マラソンをクリアした後に遂に7月20日の新曲【ツヨサノート】のレコーディング。


この日は特に体調も特別悪く無くて、なんなら頭痛も普段よりは少なかった気がします。もしかしたら脳出血にも嵐の前の静けさってあるのかな…。


そしてレコーディングに入って最初は簡単な声出し、特にこの時も違和感は無く普段通りクリア出来ました。

変な汗もかいてなかったし、友達から見てもいつもと変わらなかったらしいです。


そしていざレコーディングに入ってサビに入った瞬間にソレはやってきました。


【ドーン!!】


本当に何の前触れも無し!!

一瞬だったので、何も分からないまま何かが頭にぶつかってヒザから崩れ落ちそうになりました。

そして目の前が真っ白になったのだけはしっかりと今でも覚えています。


「?!」


ここからは読んでて意味不明かも分かりませんが、実際の脳出血(左側頭葉)患者の実体験をリアルに綴りますね。

もし僕と同じ体験をしている方が当時を思い出して気分が悪くなってしまったらゴメンなさい。


まずはバットで頭を殴られた様な気分。

とよく見るんですが、アレに関しては僕の中では表現力が50:50かなと思っています。


と言うのも確かに、ダメージに関しては間違い無くバットで殴られたらあんな感じなんだろうな、ってぐらい痛いんですよ。


でも範囲がそんなに小さくなかったんですよ。


本当にバットでどっかを殴られたって感じじゃなくて、思い切りツルツルの地面で転んで頭から落下してしまった的なダメージなんですよね。それが心臓が動く度にドーンドーンと来るから、少しづつ痛みに慣れてきてなのか、慢性化しすぎてなのか、顔色も悪くなってきて吐き気とかも出てくるんですね。


僕の場合はしびれや麻痺なんかは無かったんですが、早い人だとこの段階で麻痺等が出る人も居るみたいですよね。

あとは半盲って言って目が見えずらくなったり、一部視野が欠損してしまったり。

僕みたいに脳出血した瞬間に記憶障害と言って記憶を失う病気になってしまう人もいたりするそうです。

どこが破裂したかによって後遺症も違います。ただ脳のどこが破裂するかは本当に自分でも分からないので、表現が悪いかもしれませんが本当に【ガチャポン】だったんだな。と脳出血を起こして暫く経ってからそう思いましたね。どこが破裂しても後遺症は起こり得る、ただ大切なのはそれをどうやって最小限にするか。それしか無いよな。と、良い意味でも悪い意味でも諦めてましたね。



脳出血を起こしてからもレコーディングは続けて、無事終了。

その後は自分とマネージャーで徒歩で病院へ。


ICUに入り、すぐに点滴で血圧を下げる治療が始まりました。

ベッドで横になった時に感じたのは、天井のグルグル感でした。


これは点滴や薬剤による効果なのか、前々日のお酒が残っていて二日酔いみたいなものなのか、脳出血によるものなのかが分からないのでブログに書きづらかったんですが身体は止まっているのに天井だけがグルグル回っている様な、多分皆さんも1度はお酒で経験した事があるあんな感じをベッド上で経験していました。


僕も脳出血からもう4年。

本当に色んな事がありました。

未だに良くなった部分もありますが、

後遺症は変わらないし、てんかんや記憶障害、頭の中には未だにチタンが残り続け、髪の毛は永遠に生えない部分があります。



「1番の後遺症は実は心の中にあるのかも」


どんな名医でも、神様でも、家族や恋人だって、心の中にはメスを入れられない。


【生きてたんだから良いじゃん!】


これが1番言ってはダメな言葉だと僕は思ってます。


何故かと言うと、相手から拒否権を奪っているから。


「でも生きてたんだからいいじゃん!」


「…そうだよね。」


この会話。

【そうだよね】とか【うん】とか

認める系の返答以外返しずらいと思う。

確かに実際生きてたから良かったのは間違いないしね。

でもリハビリの辛さが分かってちゃんと発言してる?

お金や時間も掛かるし、生きてるんだから良いじゃんの一言で片付けられるほど簡単な事じゃないと僕は思う。


忘れないで。

言葉はナイフの様に尖ったバンドエイド。